火のない所に煙は立つ?立たない? ~潜在意識とマクマーティン児童施設裁判から~

ロフタス氏:
『 子ども達とセラピストの対話を見てみると、非常に示唆的な誘導尋問が行われていると感じました。
  そうした誘導尋問が行われている中で、偽の情報を与えられると人は自分の中に偽の記憶、虚偽記憶を生み出す事があります。 』

 

と。
そして、この虚偽記憶とは以下のものになります。

 

《 虚偽記憶 → 実際には体験していないのに本人には現実に感じられる偽の記憶 》

 

そして、この番組におきましても、

 

(性的虐待があったかのような)状況をイメージする(セラピストからイメージさせられる

(セラピストから問われ続ける事で)繰り返し思い出す(イメージする)

虚偽記憶(に繋がる可能性がある)

 

との流れが紹介されておりました。
その一方で、先のロフタス氏は以下のコメントも残しております。

 

ロフタス氏:
『 私は(証言した)この子ども達の記憶が偽物だとは言えません
  もし虚偽記憶だった場合、それがどのように作られるか説明するだけです。
  その記憶が本物か虚偽か証明する手段はないのですから。 』

 

少々!?長くなってしまい申し訳ございませんが、今回の素材の大方の役割はここ迄でかなりの部分を消化出来ておりますが、モヤモヤ感を残してもいけませんので、この裁判の結末を整理してお伝え致します!

1989年11月2日、裁判の結審の日を迎えますが、12人の陪審員はレイモンドと彼の母の65件の嫌疑について、6万ページに及ぶ124人の証言や証拠を精査しました。

そして、1990年1月、2人に評決が下されますが、65件の嫌疑の内、レイモンドと彼の母に関する52件は全員一致で「有罪ではない」との結果となりました。
彼の母はほぼ身の潔白を証明された形になりましたが、レイモンド自身においては残る13件の嫌疑については意見が割れて「評決不能」となり、1990年5月7日からレイモンドの第2次公判が開始されていきましたが、この公判でも性的虐待はあったと証言する子ども達もおりました

 

そして、1990年7月、レイモンドに関する5件の嫌疑は検察自身が取り下げ、残り8件の嫌疑全てが「評決不能」と下されました。
この8件の内訳として、6件が「有罪ではない」が多数、1件が6対6の同票、1件が「有罪」が多数となりましたが、あくまで全員一致が原則である事からも、レイモンドは曖昧の中で罪(正確には「有罪ではない」)が確定しました。

そして、この判決後にも、数人の子ども達は虐待は確かにあったと記者会見でも述べており、一方のレイモンドは名前を変え、ロサンゼルスを去ったと言われているそうです。

そして、当時に虐待を受けたと証言した子どもの一人が、40才を超えた2018年のインタビューにおいても虐待はあった、、、とコメントしておりました。

では、長くなってしまいましたが、今回の物語はここで終了です!
そして、この物語の流れと結末を眺めてみますと、

 

子どもの証言を信じれば結末(判決)からは子どもが嘘をついたという事になるかもしれず・・・

子どもの証言を信じなければ虐待を見逃してしまう事になるかもしれず・・・

子どもの嘘を貫き通せばえん罪が生まれる可能性になるかもしれず・・・

 

などのように、とても悩ましい出来事であった事が窺えます。
そして、このような虐待はコロナ禍で増加傾向もあり、至急に対処が必要な大切な問題でもありますが、今回は「潜在意識」がテーマでもありますので、その視点で締め括りに入らせて頂きます!