環境が人を創る事の功罪(光と闇) ~スタンフォード監獄実験&ジキルとハイドより~:後半

第475回:『 環境が人を創る事の功罪(光と闇) ~スタンフォード監獄実験&ジキルとハイドより~:後半 』

【 その他参照ワード:メタファー、暗示、社会的アイデンティティ 】

S.Light.M(カウンセリング・ヒプノセラピー・レイキヒーリング・各種セミナー&認定講座)の瀬川です!

前回に引き続き、今回も、

 

全く異なる2つのテーマを・・・

《 統合 》&《 順行 》と《 逆行 》と《 共通項 》

 

という視点を当てはめて進めます!

 

そして、前回は番組『 ダークサイドミステリー 』(NHK BSプレミアム)から、「 封印解除! 禁断2つの監獄実験 ~人は簡単に悪魔になるのか?~ 」の回を紹介し、「スタンフォード監獄実験」を取り上げました!

 

そして、今回も同番組から、「 黄金時代の怪奇文学! 名作の秘密に迫る ~ドラキュラ!タイム・マシン!ジキルとハイド!~ 」の回を少し眺めますが、前回と《 比較(という視点) 》がポイントなります!

 

 

【 知られざる第2の監獄実験とは 】

「知られざる第2の監獄実験」とは、2001年にBBC(イギリス国営テレビ)で放映された、リアリティーショー番組で起きた出来事です。

当時のイギリスでは素人参加型の番組、そして、有名人の生活覗き見番組、また、恋愛やスター育成などの《 筋書きの無い 》リアリティー番組が流行していました。

 

ちなみに、数年前には日本の番組でも、出演者がSNSで誹謗中傷され、自ら命を絶った出来事もありました、、、

 

このような当時のイギリスの《 流れ 》から、スタンフォード監獄実験を再現する企画が立ち上がります。

そして、(当時)エクセター大学心理学部教授のアレックス・ハスラム氏と、(当時)セント・アンドリューズ大学社会心理学部教授のスティーブ・ライヒャー氏が、監修を引き受けました。

 

そして、番組の目的は、スタンフォード監獄実験の実施者のジンバルドー氏が提唱した、

 

「普通の人でも、環境や与えられた役割によって邪悪になる」との説に、二人は疑問を抱いたので・・・

果たして、この提唱は本当なのか???

 

を検証するものでした、、、

 

 

【 スタンフォード監獄実験との相違点 】

二人はジンバルドーがスタンフォード監獄実験を開始する前日に、

 

「看守は囚人をコントロールし、抑圧感を植え付ける役割である」

 

と、《 普通の 》大学生達に《 指導 》した事が問題であると、最初に指摘します。

 

つまり、ジンバルドーが、

 

《 植え付けた先入観 》こそが、《 普通の 》大学生である看守役の暴走を招いたのでは???

 

というものでした。

 

そこで、二人は実験前日に、看守役のみを集めたオリエンテーション(事前説明)で、次のように伝えます、、、

 

二人:
『 君たちに過ごして貰う(模擬)刑務所では、掃除・作業・点呼・運動・レクリエーションの時間が決められている。 刑務所が出来るだけスムーズに運営され、囚人が全ての仕事を行うようにする事が、君たち看守の責任だ。 身体的暴力は許されないが、それ以外でどうやって運営するかは、君たち看守の自由だ。 』

 

 

つまり、今回の実験の看守の役割は「刑務所のスムーズな運営」であり、囚人への接し方は《 自主性に任せた 》ものです。

 

【 入念な事前準備をするが 】

スタンフォード監獄実験と同じく、新聞広告で被験者を募集し、テレビで放映する社会科学実験とだけ説明します。

そして、今回は対象を大学生に限定せず、職業も年齢も違う《 普通の 》男性にします。

なおかつ、偏りが出ないように、応募者の中から「5人の看守役」と「10人の囚人役」に振り分けられました。

 

そして、スタンフォード監獄実験で問題だったのが、

 

「被験者へ何の説明も、事前の同意もなく与えられた、過剰な精神的苦痛」

 

という点でした。

そこで、今回は倫理面の対策として、被験者に対して、

 

「精神的にストレスが掛かる可能性がある事が伝えられ、事前に同意を得る」

 

という点が実施されました。

 

更に、実験現場では「臨床心理士・救急隊・警備員・第三者」による倫理委員会を、24時間体制で配置します。

そして、《 現場で見守る人達 》が被験者や状況に問題が発生したと判断すると、実験者(二人の教授や番組関係者等)以外にも実験を中止する《 権限を持たせる 》など、慎重な体制も敷かれます。

 

 

そして、刑務所内もスタンフォード監獄実験と同様に、囚人には3つの監房と、1つの懲罰房(独房)が作られます。

ただ、「自由」な看守と「不自由」な囚人の双方が、《 格差の大きい 》共同生活をイメージ出来るように(臨場感を持てるように)、

 

看守が寝泊まり出来る、看守ゾーンだけは快適で広々としたものが作られた

 

という点が、スタンフォード監獄実験とは《 違って 》いました、、、