環境が人を創る事の功罪(光と闇) ~スタンフォード監獄実験&ジキルとハイドより~:後半

では、この番組からの紹介はここで終了になりますが、一点、民主主義でも《 少数派の大きな(時に威圧的な)声 》で独裁が誕生する余地(可能性)は充分にあります。
また、《 法律 》という側面での極論を言えば、例えば殺人罪は残したとしても犯罪被害者(遺族も含めた)の復讐に限っては合法とするなどの法律が出来れば、この場合に限っては殺人は合法と化します。

 

そして、この種の同じような実験はおそらく《 二度と繰り返される 》事はないかもしれませんし、《 どちらの 》実験結果が正しくて間違っているかなども《 この先には 》検証しようがないかもしれませんし、仮に似たような実験が行われたとしても《 全く違う過程と結果 》が出る可能性もあるかもしれません。
ちなみに、この2つの実験での「時代背景や善し悪し」はともかく、「(例えば実験の舞台であった刑務所におけるそれぞれの国の)文化や風習の違い」も考慮する必要性もありますが、「人権侵害」は全くの別問題になりますので誤解の無きようお願い申し上げます!

 

なお、この番組内では《 過去の他の 》社会心理学実験として、1961年に電気ショックを与えたフリをして、与えられた人は閉鎖的な状況では権威者に服従し、非人道的な行為を行う事を証明した「ミルグラム実験」や、1968年に小学生のクラスの生徒を目の色で差別し(青い目の人の方が優秀で、茶色の目の人は劣るなどと教え込む)、子ども達の言動にどのような影響が出るかを調べた「青い目茶色い目差別実験」なども紹介されておりました。

 

では、少々お疲れ!?かもしれませんが、心や気持ちを新たに!?次の「 黄金時代の怪奇文学! 名作の秘密に迫る ~ドラキュラ!タイム・マシン!ジキルとハイド!~ 」に進んで参りましょう!

この「ジキルとハイド」の物語を読んだ事がある人もいらっしゃるでしょうし、読んだ事はなくとも、何とな~く聞いて知っているような感を受ける方も多いかもしれませんね(笑)

この作品が描かれた当時の19世紀後半の大英帝国(イギリス)は栄華を誇ったヴィクトリア朝後期の時代である一方で、この頃は環境破壊や(経済)格差が激しいなどの《 社会不安が増大 》していた頃でもありました。
そして、「勤勉・禁欲・貞淑」を求めるのが道徳的な《 理想 》とされていた一方で、欲望を貪(むさぼ)る《 現実 》も《 同時進行中 》でした。

 

この「ジキルとハイド」の原作者はロバート・ルイス・スティーブンソン氏であり、1886年に発表され正式名は「ジーキル博士とハイド氏の奇妙な事件」(作者がスコットランド出身である事から、発音としてはジーキルと表記されています)とされ、いわゆる《 二重人格や二心同体 》の代名詞ともなった物語です。

この物語では《 善人 》の医者であるジーキルが《 人間の悪の部分 》を分離する薬を開発し、その薬を飲んで悪人ハイドとなり殺人を犯す《 善悪の葛藤 》の見方であったり、女性連続殺人事件を舞台にした物語(これは当時の演劇などでそのように演じられていた影響の為)とのイメージが強く残されていますが、しかし原作者のスティーブンソン氏は、そのような見方は《 全くの間違いだ 》と次のように反論していました。

 

スティーブンソン氏:
『 善のジーキル博士と悪のハイド氏の葛藤の物語ではない! 悪はジーキルにある。 偽善者のジーキルがハイドという野獣を解放したのだ 』

 

そして、実際の原作ではハイドは少女を蹴飛ばしたりなどの悪行を確かにしていますが、実はハイドはジーキルから多額のお金を渡されており、ジーキルの屋敷への出入りも自由で、ジーキル名義の小切手を自由に使えたり、更にジーキルの遺産相続の受取人にもなっていました。
ちなみに、何故、ハイドがこのような行動(立場)を取る事が出来たのかは後に判明していきます、、、

そしてある日、ハイドは国会議員を撲殺してしまい、《 姿を消して 》しまいます、、、

 

それから数ヶ月後にハイドはジーキルの部屋で毒を飲み自殺をしていた所を発見されますが、部屋にはジーキルの手紙が残されており、そこには「ハイドは薬の作用でジーキル(自分)から分かれた人格である」という事が書かれており、このジーキルが書いた手紙の内容にこそ、原作者たるスティーブンソン氏のこの物語におけるテーマが込められていました、、、