今のあなたは大人?子ども? ~子ども時代のヒーロー!?藤子不二雄(氏)から~

【 共感が鍵を握る 】

アナウンサー : 安孫子さんとしては、心の隙間がある人達に共感出来るのか、あるいは、喪黒福造に共感出来るのか?

安孫子さん:
『 僕はどっちかと言うと、喪黒福造のお客ですよ。 ドーンとやる方じゃなくて、やられる方の典型的なキャラ(クター)なんですよ(笑)

  だから逆に、そういう人達の気持ちが分かるって言うんでしょうかね。 』

 

そして、「笑ゥせぇるすまん」の子ども向けバージョンとして、「黒ベエ」や「魔太郎がくる」など、子ども達の世界を舞台にした作品を描きました。

アナウンサー : (このような作品について)何で子ども向けに今度はしたのですか?

安孫子さん:
『 いや、と言うよりね、初めは冒険漫画を描こうと思ったんだけど、漫画の当時の主人公っていうのはみんなヒーローなんですよ。 例えば、当時の野球漫画とか、色んな漫画、アクションもそうですけど、全部ヒーローなの。

  

  (そこで)待てよ!と。 特に子ども達はクラスに50人いたら、この中のヒーローっていうのは、もう数えるほどしかいないわけで、後はね、例えば一般の子は自分の、、、何と言うか、、、自信がないという事があって、大人よりも子どもの方が遙かに悩むって言うか。 例えばイジメなんかでもそうですけど、そういう思いを抱えている。

  当時まだ、イジメってのは社会問題になってなかったですけど、クラスに例えば50人いたら、イジメる側は5人のグループで、後の45人はイジメられるから、イジメられる子を主人公にしようと思って魔太郎を描いたんですよ。 』

 

 

アナウンサー : 子どもの方が悩みが大きいと言うか、、、

安孫子さん:
『 ええ、そりゃあそうです。 大人なら対処出来る事も、子どもは対処出来ないんですよ、自分でね。 』

 

アナウンサー : どうして、そのように思われるようになったんですか?

安孫子さん:
『 それは自分自身の体験からいって。 でも誰も助けてくれないわけですよね、それを。 例えばイジメられてる子が先生に言ったって受け付けないし、親に言ったって分からない。 それで自殺したり、そういう子が多いじゃないですか。

  それは全部悩みを自分の中で抱えて、どんどん深みに嵌(は)まっていく。 これがやっぱり非常に問題だと思うんですよね。 僕はそういう子に凄い共感を覚える、自分自身がそうでしたからね。 』

 

 

【 弱さを自覚する 】

アナウンサー : 仕返してやろうとか、この野郎とか、そこに黒い気持ちが子どもながらに生まれるじゃないですか、人間って何なんだ???って風に思ったりしますか?

安孫子さん:
『 やっぱり人間の心って言うのはね、非常に複雑怪奇なので、大人は子どもの事を単純だと思っているけど、実は子どもの方がもっと複雑な思考を持っているし、特に痛みに傷つきやすいって言うんですか、大人は他で紛らわせたりなんか出来るけど、子どもはそういう事を紛らわせられないんで、非常にそういう意味では辛い時代になって来たなと思うんですよね。 』

 

アナウンサー : 人間って強くないんですかね?

安孫子さん:
『 人間は基本的に強くないですよね。 スーパーマンは別ですけど(笑) 普通の人間ってのは、どこかにフラストレーションが溜まっている。 それをどうやってその人が解決していくかっていう事は、その人によって違うと思うんですけど。

  僕はいっぱいそういうものがあったけど、漫画を描く事で僕は解消してきて、今日まで来れたのは漫画を描いて来たからで、漫画を描いて来なかったら、おそらくどっかで挫折してたと思うんですけどね。 』