さて、高校では入学時から空雅さんは男子生徒として認められましたが、それと同時にご自身でも周りの人々に自分は性同一性障がいである事を隠さずに告げていったそうです。
そして、高校3年生時のお友達との会話の一端です。
友達(女性)のAさん:
『 女とか男とか、そういうのじゃなくて、(空雅さんは)こういう存在なんで、もう、それで、なんか、そんな気にすることじゃないかなって。 』
友達(男性)のBさん:
『 性別は空雅でいいんじゃないの? 』
そして《 性別を気にする人は、とても気にする 》と、空雅さんが発言した事に向け、
友達(女性)のAさん:
『 仮に、じゃあ空雅が、今、じゃあ女になりますって言って、女になったとしても、友達だっていうのは別に変わんないと思うし。 』
空雅さん:
『 友達ができるってことは、ちゃんと自分が見てもらえてるんだなぁって。 』
と、楽しそう話しておりました。
そこで、中学生の時にした同じ質問をインタビュアーが再度投げかけてみました。
インタビュアー:
『 今の自分は好きですか? 』
空雅さん:
『 もともと好きとは言えなかったですけど、まぁ許してやろうというぐらいには思えるように、もっと頑張ろうなって感じです。 』
そして、2013年1月、18歳になったばかりの頃の空雅さんですが、当時は18歳になると乳房の切除手術が受けられるようになっていました。
その手術を翌日に控え、
空雅さん:
『 早くやりたかった、楽しみっていうか、早くやりたかったっていう感じです。 』
インタビュアー:
『 空雅くんにとって、膨らんだ胸っていうのは、どういう存在なんだろうか? 』
空雅さん:
『 意識しないから分からないです。
うん、ただそれを意識すると、すごく嫌なものですけど、なんか意識しても理解できないから嫌だって思うんだろうなぁって、うん。 』
インタビュアー:
『 理解っていうのは、なんであるのか? なぜ自分にそんなものがあるのか? 』
空雅さん:
『 その考えまでたぶん自分はいかないけど、なんだろう、う~ん、なんて言ったらいいんだろう、お化け嫌いな人ってお化けが理解できないから怖がるじゃないですか、たぶん、それと同じ感じです。
それがなんなのかって考える前に生理的に無理みたいな。 』
インタビュアー:
『 手術のこと聞いてる時、理解できた? 』
空雅さん:
『 理解はしたけど、あんま聞きたくない話ですよね。 』
インタビュアー:
『 なんで聞きたくない? 』
空雅さん:
『 だって、無いはずのものを取るわけだから。 』
インタビュアー:
『 そこまでして絶対手術はしたい? 』
空雅さん:
『 うん。 』
インタビュアー:
『 なんでしたい? 』
空雅さん:
『 なんでって、う~ん、みんなは色々将来したいことあるだろうけど、それでゼロからプラスに行くわけだけど、今、自分はマイナスにいるから、プラスに行くには、まずゼロに戻らなきゃいけないなぁっと。 』
インタビュアー:
『 今の段階で将来に向かって進めない感覚があるんだ? 』
空雅さん:
『 そうですね、今のまんまじゃ、ちょっと中途半端、というか道がちょっと違うなって。 』
こうして、手術前夜は過ぎていきましたが、お母様である美由起さんは、笑いながら次のようにお話されておりました。