発達障害から学ぶ様々な視点 ~二次被害を防ぐ視点も含め~ 

では、症状の一つとして「感覚過敏」というのが挙げられます。
まず聴覚に関してですが、これは、様々な音が、自分のすぐ側で聞こえているように大きく感じるというものですが、このようなケースでは、ご本人には次のような事が起こっているとの事です。

 

・ スーパーマーケットなどの店内における音は、「普通」の人がパチンコ店で感じる音よりも大きく感じている

・ 「普通」の声で注意されたとしても、怒鳴られていると感じるような大きさに聞こえている

・ 喫茶店などでは、周りの人の会話が大きく聞こえるので、対面している相手の話している声が聞こえづらく感じている

 

などです。
喫茶店などのケースでは、この人はコミュニケーションが苦手と誤解されてしまう事も多いですし、このような聴覚の過敏な感覚から、「普通」の人には当たり前の気にならない音(量)であっても、その全てが同時に耳に入ってくるが故に、外出などでは体調も悪くなる事もあり、また疲労も多く感じるため、人付き合いが苦手、あるいは、状況に合わせられないなど、「普通」の人には原因が分からないが故に、誤解を受けてしまうケースが多い、という事です。

 

そして、視覚に関してですが、これは外の光が眩(まぶ)し過ぎ、時には痛みすら感じている時もある、というものです。
また、視覚に関しては次のようなケースもあります。

 

・ 会話の時に相手から目を逸(そ)らすのは、相手の顔からの情報が入り過ぎて、自分の中でその情報を処理する事が出来なくなってくる。  そして、自分の話したい事を整理するのに時間も掛かり、その処理や整理をしている事で、「普通」の人より多くの疲労を伴う

 

というものです。
そして、このケースからも、周りの人からはコミュニケーションが苦手と誤解されてしまう要因にもなっているとの事です。
そして、このように情報が一気に入ってくるために、最初に何を話して良いかなどが分からなくなり、空気が読めない人、との誤解も多くなるそうです。

 

また、この「感覚過敏」には、洋服の色や素材の違いなどで、身体が過敏に反応してしまうが故に、洋服一つ取っても、着る物が限定されてしまったり、それが故に、見た目や外見という印象による誤解も受けやすくなる。
あるいは、小さなお子さんなどでは、感覚が過敏なため、散髪をする事においても苦痛を感じている。
また、逆に感覚が鈍感になるケースもあるため、熱さなどの種々の危険性についても気づきづらいケースもあるとの事です。

 

それでは、次は、学校の授業などで上の空であったり、落ち着きがないと言われるケースですが、ご本人の中では、以下のような流れになっているとの事です。

 

① 最初はちゃんと授業を聞いている

② その内、ポスターなどの掲示物に意識が向き、そこに集中してしまう

③ そうしている内に、隣の子のカバンが可愛いなぁなど、また別の対象に意識が向き、そこに集中してしまう

 

このような流れから、ご本人の内心とは違って、やる気がない、あるいは、中途半端などの誤解を受けやすくなってしまう、との事です。
また、感情のコントロールや気持ちの切り替えが苦手な面(時間を要する)がある事により、どうして良いのかが分からずパニックになってしまうケースなどでは、周囲の人の反応に、誤解という拍車が掛かってしまう事も多々起こりがちになります。

また、視覚における「感覚過敏」から、眩し過ぎて目が疲れてしまい、黒板から目を背ける、あるいは、聴覚においては、様々な音が同時に、そして、大音量で入ってくる事により授業に集中出来ない、というケースもあります。

そして、これが大人の場合ですと、本心では綺麗に片付いているのが好きだし、そのように整理整頓したいと強く思っているにも関わらず、やり方が分からなくなってしまう、何から手を付け始めればよいのかが分からない、あるいは、取りかかっている内に別の対象に意識が集中してしまう、また、ソコソコで良いという基準や判断が付かない、などのようなケースもあるそうです。