公明正大という救世主:前半 ~漫画本「医龍」からのメッセージ~

「第6巻と第7巻より」:
荒瀬は過去に薬の論文の実証の手伝いにより、数多くの患者さんの命を奪ってしまった過去を抱えていました。
これは製薬会社側では治験を行う医師に多額の金品を握らせ、良いデータを集め認可を取得し莫大な利益を得る目論見であると共に、医師の側も潤う(儲かる)という、いわゆるウィンウィン(Win-Win)という《 共依存 》の状態でした。

その過去に苛(さいな)まされている荒瀬にとって、唯一の慰みというのが馴染みのバーで酔い潰れる事でした。
そのお店では香ちゃんという女性が働いており、その女性の存在というのも荒瀬にとっての癒しとなっていました。

 

そして、そのお店でのある夜、荒瀬と伊集院が口論となり、荒瀬がグラスを投げつけ壊してしまった事により香ちゃんはグラスを買いに外出した所、その外出先のお店で強盗による発砲事件に巻き込まれ、瀕死の状態に陥ってしまいます。

伊集院と荒瀬が駆けつけ、何とか香ちゃんの応急処置はしましたが、救急車の中で血圧も下がり脈拍も触れなくなり、とても危険な状態でした。
荒瀬は半ば放心状態や心ここにあらずの状態になり、目の前の光景から《 目を背き 》始めます。

そして、伊集院は他に出来る事は、、、最後まで話しかける事だけか、、、と思い至った所で香ちゃんが聞き取れない程のか細い声で話し始めます。
それで伊集院は荒瀬に向かって、

伊集院:
『 荒瀬先生!!
  あなたが聞かなくて誰が聞くんだッ! 』

 

と訴えますが、荒瀬は伊集院に聞けと背を向け《 耳を塞ぎ 》ます。
そして、

荒瀬:
『 お前なら、金のために人を殺した医者に、看取ってもらいたいか?
  オレにそんな資格がないのは、お前が一番よく知ってんだろ。
  ここから先の道は---お前みてえな---キレイな医者しか歩けねえのさ。 』

 

ところで、私達は私自身も含め、誰もが間違いや過ちを犯しますし、そこには悪気がない場合もあれば、故意(わざと意図して)という場合もあります。

そして《 自分(自身)に嘘は付けない 》のが事実であり真実ですが、《 この先に二度と同じ事を繰り返さない為 》には、《 自分(自身)に公明正大になる 》という事が、とても大切で必要となります、、、

 

「第7巻より」:
朝田は先程の荒瀬をバチスタ手術のチームに入れようとします。
ところが、伊集院は過去の荒瀬の姿を知って、未だに悪党のままであると荒瀬を評し朝田に意見します。
それに対し朝田は次のように伊集院に話します、、、

 

朝田:
『 悪党を許せないなら、許さなくていい
  あいつは、責められるために今も悪党やってんだからよ。
  自分の犯した罪が、一生かけても許されない事は、荒瀬もよく知っている。

  だから、あの意地っ張りは他の道を選べなかった。
  これからも、引き返すつもりはないだろう。

  だが---お前は、真っ白い医者のままでいろ。
  今のままのお前に責められる事を、---きっとあいつは望んでいる。
  そんなチームも悪くねえ。 』

 

ところで、《 人の振り見て我が振り直せ 》《 他山の石 》《 反面教師 》などの言葉もあります。

そしてTOPICSでは《 自分のした事は自分に反ってくる 》ともお伝えしておりますが、このように反ってくるという現象では「誰かから」や、「他の何かから」という事もありますが、その実は《 自らで自らに反している 》というのも事実であり真実の一端を担っています、、、