「第4巻より」:
明真で最初のバチスタ手術が行われる事となりますが、その候補者は2名おり、一人は容態の安定している若いAさんであり、もう一人は容態がとても悪い年配のBさんでした。
どちらの手術を行うかで加藤と朝田は激論を交わしますが、加藤は論文の為に容態の良いAさんの手術を行うと宣言します。
そして、この論文(手術)の成功こそが加藤が教授になる為の《 唯一の道 》と言える(少なくとも加藤はそのように《 思い込んでいた 》)ものでした、、、
加藤:
『 (大学医局の)改革のために、いろんな人を犠牲にして、ここまで昇ってきたんだもの!
この16歳の女の子は、待ちに待った最適の患者なのよ!!
この子を切るのが、ベストのチョイスよ!
汚いと思う?
だけど、汚い汚いと言ってるだけでは何も変わらない。
誰かがドブに足を突っ込んで、ドブさらいをやらなければ。
私はそれをやるの。 』
朝田:
『 待ちに待った患者だと・・・・・?
勘違いすんなよ、患者が医者を待ってるんだぜ!
---確かにあんたは、改革のために身を粉にしてきただろうし、今もそうなんだろうよ。
---しかし、あんたの改革は、あんたの妥協をごまかすための道具じゃねえ。
人間は、無限に自分をごまかせる。
改革のための手段と言って、気づかぬうちに自分に甘くなる。
いずれ、過去の罪すら正当化するようになる。
ミイラ取りは、そうやってミイラになる。 』
ところで、昨年末の複数のTOPICSでも《 ミイラ取りがミイラになる 》との言葉は幾度もご紹介致しました。
そして、この場面における加藤と朝田の会話では《 最も問われるのは真の動機 》という視点が含まれ、更に、
コミュニケーションにおいて最もトラブルになりがちなのは・・・
意見や見解の相違である事は少なく・・・
お互いに敢えて避けている隙間(話題)に生じる・・・
との見方も成り立ちます。
「第5巻より」:
結果として先程のBさんの手術が行われる事になりましたが、その手術の最中に術中死にも繋がりかねないトラブルが起こってしまいます。
そこで朝田はミキにグラフト(血管)採取を行うよう指示します。
ミキは躊躇うことなく指示に従おうとしますが、しかし、この処置は医師法違反に当たる越権医療行為でもあり、それが故に加藤を始め反対の意見が出されます、、、
加藤:
『 私はあなたの言うチームを作るために、今まで随分骨を折ってきた・・・・・!!
それなのにメンバーの立場を考えようともしない!
チームが崩壊しようとおかまいなしで、一方的な判断を貫こうとする・・・・・
---あなたにとって、チームって何?
医局はおろか医師法まで越えて、あなたの命令に従うのがチームだと考えているなら---どんな越権より傲慢だわ・・・・・!! 』
すると朝田は頭を下げて話し始めます、、、
朝田:
『 ---頼む、---加藤。
---俺にとってチームとは、共に命を追う、大事な仲間だ---
一人でも命を諦めない者がいれば、俺は何があっても共に前に進む。
ここに---戦っている仲間が、いる限り。
俺たちに出来る戦いは、妥協を許さないという事だ。 』
ところで、《 現実(的) 》には法律違反を犯す事は許されない事もあるでしょう。
そして、朝田はチームの仲間に頭を下げて話すと《 共に 》、
戦っている《 仲間の一員 》には・・・
今、目の前の手術を受けている患者のBさんも含まれており・・・
最後にはBさんに向けて語っている・・・
という光景が描かれています。