分断させての接近という(自己)矛盾 ~人獣共通感染症とパンデミックから~

このような背景がある中、ガーナにおいてコウモリに関する最前線の研究施設を統括しているガーナ大学のリチャード・スイレ上級講師のお話です。

リチャード・スイレ上級講師:
『 (感染症やパンデミックは)全くもってコウモリのせいじゃありません!
  全て人間のせいです!
  我々から近寄って行ったり、食べたり、彼らの住環境を破壊してストレスを与え、(野生動物達の免疫を下げて)ウイルスを放出しやすくさせているんだから。 』

 

また、この講師の方は安全対策としてコウモリを檻の中に入れて研究していますが、そのコウモリを入れる檻と檻との間に目隠しをしている事について、次のように述べておりました。

リチャード・スイレ上級講師:
『 コウモリは仲間が死んでいくのを見ると悲しむんです。
  人間と同じでね。
  だから目隠しをしてあるんです。 』

 

そして、この施設のコウモリからアフリカのヘニパウイルスが検出されており、その為に継続してコウモリの観察などを行っていますが、このヘニパウイルスの一種であるニパウイルスによる人獣共通感染症が2018年にインドの一部で流行しました。
この感染症では脳炎を起こす事もあり、致死率は4~7割ほどにも達しますがワクチンも治療薬も未だに無いそうです。

 

と、ここで、あくまで私個人としての見解を述べさせて頂きますが、致死率においても極めて高いニパウイルスという感染症であるにも関わらず、未だにワクチンも治療薬も存在していないというのは、出来ないから(創れないから)という理由もあるのかもしれませんが、あまりにも現在の新型コロナウイルスにおけるワクチンや治療薬への対応と比較すると「落差」や「乖離」などが大き過ぎるように感じます。
果たして、このような「格差」とも言える状況が創り出されている「真の動機」は何なのでしょうか、、、

 

では、番組の内容に戻りますが、ガーナやアフリカの各地では先程のコウモリも含め、野生動物との関わりは生活の一部(日常生活に密着している)でもあります。
と言うのは、当地では様々な野生動物を食べるが故に野生動物の売買も盛んに行われています。
これらの野生動物は《 ブッシュミート 》と呼ばれ、タンパク源として重宝されており、また、当地ではブッシュミートは家畜に比べ脂肪分が少なく健康的な食材と考えている人も多いそうです。

そして、ブッシュミートを専門に扱うマーケット(市場)もあり、料理として提供される分には火が通っている為に感染症に罹るリスクは(ほぼ)ないそうですが、ブッシュミートの捕獲時と食肉処理時が感染症に晒される危険性が高いと指摘されています。
また、食肉処理時には素手で行う人も多く、指の傷口などから動物の血が入り込んだり、自宅で個人的に捌(さば)く人も多くいらっしゃるそうです。
そして、市場内には持ち込まれた動物を火で炙ったりして毛を取り除いたりするなどの処理を施す場所もあり、その処理をする人達もいますが、その人達の腕には動物の血が付着している事も日常的な光景であるそうです。

 

このような市場内での状況や環境に対し、ガーナ林業委員会の野生生物局のメイア・ジーカ博士は次のように述べております。

メイア・ジーカ博士:
『 こういう事(状況や環境など)が問題なんです。
  ここの人達を啓発して、ちゃんとしたやり方で処理をするように訓練しないといけないのです。 』

 

そして、手袋を付けるように指導もされたりしているそうですが、お店側の言い分としても以前に手袋を付けていた所、お客さんが肉に何かおかしい所があると思って(勘違いして)逃げてしまう事があったそうです。
そして、動物の捕獲者の側としてはすぐに換金出来る商品でもあり、お店側でも農作業などと違って体的には楽な(負担の少ない)商売形態でもある事が、野生動物を扱うお店が多い事の理由の一つでもあるそうです。

 

そして、同じくメイア・ジーカ博士は次の事もお話しておりました。

メイア・ジーカ博士:
『 ブッシュミートは文化の一部で無くなる事はありません。
  だから人獣共通感染症の病原体が人間に広がらないようにやるしかないのです。 』

 

と、ここも大切なポイントですのでコメントさせて頂きます!