正直という真の動機 ~自分自身に嘘はつけない&時には嘘も方便の活用も~

ゆう子:
『 皆さんは、自分の恋人のために料理を作るとき、恋人の目の前でピーマンを袋ごと切って、洗いもせずに使うでしょうか?

  自分の子供に、ヘタを取らないままの苺を食べさせる親がいるでしょうか?

  自分の大切な人間には、最大限の思いやりを尽くすはずです。 』

 

山岡:
『 調理人にとって一番大事なことは、料理の美味しい、まずい以前に、その思いやりを持つことだと思います。

  食べ物は、人間の命を支えるものです。

  その食べ物を作る調理師という仕事は、人間の命に関わるという点で、神聖な仕事なのだということを忘れないでください。 』

 

と。
そして、講演が終わった後、この調理師学校の校長からの慰労で、山岡とゆう子は、その校長の馴染みのお店に連れていかれました、、、
そして、そのお店でも山岡の気になる点が幾つかありましたが、山岡はそれを声には出さずに、あれこれと心の声としてつぶやいていました。

すると、料理をする為に、山岡の目の前にビニールテープで束ねられた、しおれていて貧相なネギが置かれました。
そして、目の前の料理人は料理に取りかかったのですが、、、

 

山岡(の心の声):
『 え!

  テープで縛ったままのネギを洗いもせずに切って、それを鍋の中に!

  一皮も二皮もむかなければ美味しくないへたりきったネギをそのまま!

  テープをはいでも、ネギの表面には糊(のり)が残っているし、ほこりやゴミがこびりついているはずだ。 』

 

と。
その光景をゆう子も同じ想いで見ていました、、、

そして翌日、今度は社主からの慰労で山岡とゆう子はお寿司屋さんに連れていって貰う事になりました。
そこで、社主達とこれまでの体験と講演内容の話をしていました。

山岡:
『 その料理人はお客に対する思いやりをまったく欠いていました。 』

 

ゆう子:
『 一番こたえたのは、その料理人は私たちが見ていることに、まったく無関心だったことです。

  お客が不愉快になる、ということさえ気がつかない

  その無神経さが辛かった。 』

 

と。
そして、その話を聞きながら、このお寿司屋さんの料理人も「それはひどいですね。」と相槌(あいづち)を打っていました、、、

そして、トロを焼いて貰う事になりました。
すると、その切ったトロの一部が床に落ちてしまったのですが、料理人はそれをすぐには捨てずに、調理台の脇へ置き料理を続けていました。
そして、厨房の方へ切り終えたトロと、床に落ちたトロとを一緒に手渡しました、、、
そこで、山岡は料理人に尋ねます、、、