最近注目?の「レジリエンス」について ~ユーティライゼーション&オリエンテーションも含め~ 

では、まず最初の前提として、ユーティライゼーションにおいても、そして、レジリエンスにおいても共通しているのが、

 

『 心の健康は「標準化」してクライアントに強要出来るものではない 』

 

というエリクソンの一言です。
なお、ここでのクライアントとは、あなたが相談を持ちかけられた「誰か」にも当てはまりますし、勿論、「あなた自身」にも当てはまるものです。
これは、皆さん自身においても、自分の悩みでも然り、他の人から悩みを相談された時にも然り、

 

まずは、違って当然という・・・

「多様性」へと目を向けさせる・・・

 

という所がポイントです。
例えば、誰かから、あなたにとっては何でもないと感じる事を相談された時に、仮にあなたが「そんなのは悩みでも何でもないでしょ!」と答えたとすると、その後のコミュニケーションは継続しなくなる事でご理解頂けるかと思います(笑)
勿論、あなたの「内心」においては、どのように思おうと自由ですが、、、(笑)

そして、これを具体的なレジリエンスという現象に活用してみますと、

 

他の人が行っているレジリエンスを参考にするのも(大いに)役立つが・・・

「自分」と「他の人」とを比較しない!

 

という視点を保つのが大切になります。
つまり、「自分」に役立つレジリエンスが「他の人」に当てはまるとは限らないのと、逆もまた同様に、「他の人」に役立っているレジリエンスが必ずしも「自分」にとって功を奏すとも限らない、という意味です。

これは、少し冷めた?表現を用いますと「(過度な)期待をしない」とも言えますが、「他の人」から教えて貰って「自分」に試してみたけれど、「自分」にはあまり効果が感じられなかった、、、と落胆を感じる人も多くなっておりますので、そのような「本末転倒」にはならぬよう、少しこの点を心掛けてみて下さい!

 

では、ここからは、この書籍において、実際にあった2つの症例を元に考える素材を提供して参ります。
エリクソンの元に、関節炎による麻痺により、体が動かせなくなってしまい、車イス生活を送っていた男性が訪れてきました。
そして、エリクソンはその男性の話を色々聞いていた所、その男性は「親指だけは少し動かせる」という事が分かってきました。
そこで、エリクソンはその男性に次のように話し(指示・暗示し)ました。

 

『 親指「しか」動かないのであれば・・・

  親指「だけ」を動かし続けて下さい・・・

  そして、もし、「他の指」を動かしたくなったら、そうしても(動かしても)構いません・・・ 』

 

と。
すると、次第に、その男性の指の動きは、親指から人差し指へと、さらに他の指へと広がって(繋がって)いき、その状況を観察していたエリクソンはこの男性にペンキ塗りの仕事を与え、その後はトラックの運転手の仕事も任されるようになり、それと同時に、大学へも通えるようになっていきました。

理想論や空想と思われるかもしれませんが、実話です(笑)
このケースにおいては、全ての関節炎が全快(治癒)した訳ではありませんが、梅雨などの痛みの増す時期は良い休暇と思って休息を取りながら、日々の生活を送れようになっていきました。

では、このケースにおける、エリクソンからのレジリエンスの「提案」の言葉です!

 

『 全てを正す事が出来ない時には、修正出来るものを持つと良い 』

 

『 「癒し」は、オール・オア・ナッシング(all or nothing)という思考から、何が達成可能か?という考え方に「シフト」した時に、最もよく発生しやすい 』

 

と。
この「オール・オア・ナッシング(all or nothing)」とは、特にここ最近のTOPICSでも取り上げております、「本当に「二者択一」しかないのか?」あるいは「是か非か?」という思考パターンに陥るのと同じ意味です。

また、別の表現を用いると「可能な事と、不可能な事を分離する」と言えますが、何故、これがレジリエンスになるのかと言いますと、

 

このように分離する事により・・・

自分自身でもコントロール出来る部分が生まれてきて(それに「気づけて」)・・・

それが、その後の「自信」へと繋がっていく!

 

からです。
ちなみに、この「二者択一」問題?は、今回のTOPICSの最後の方でも、おそらく皆さんが「今、最も関心を持っている!?」と思われる話題に当てはめて考えていきますので(笑)

 

では、2つ目のケースです。