身体に刻むリラックス・アンカー ~不安や動揺などをやり過ごす~ 

そして、栗山さんは「タグ」を触ることでリラックス出来ることは心身共に自覚の上で理解しているが、だからといって自分の好きな「タグ」が毛布などに付いている場合などでは外出時に持ち歩くことも出来ないとのことで、自分好みの「タグ」を切り取って、それにゴムを通して手に結び付けているとのことでした。
こうしておけば、あまり目立たないし、簡単に持ち歩くことも出来るからと考えたそうです。

そして、逆に表現すると、この持ち歩き用の「タグ」を忘れた時には不安になるかも・・・ということにも繋がっていきます。

 

お家でぬいぐるみを抱いて寝る分には困ることもないでしょうが、お友達やお知り合いと旅行に行く際などは恥ずかしくて持ち歩けない、あるいは、小さなお子さんが自分の好きな毛布の端でないとリラックス出来ないという場合でも、外出先にそのような物は持ち歩けないという状況も出て来るかと思います。
また、先の地震などで避難が必要な場合などには、リラックス出来るアイテムがあったとしても、それをとっさに持って避難するということも出来ないことが多いでしょうし、物によっては同様に避難場所では活用出来ない場合もあることと思います。

 

それでは、このような場合どのようにすれば良いのでしょうか?
栗山さんのケースでは、このリラックス効果を産み出す「タグ」に値するアイテムを以下では「アンカー」と称していきます。
それは、

 

もう一つのアンカーを創れば良い

 

ということになります。
そして、そのもう一つのアンカーは、

 

自分の身体に刻み込んでおけば良い

 

ということになります。
なぜなら、自分の身体と自分が離れて過ごすということは、(まず)あり得ません
それであれば、予備のアンカーとして自分の身体を活用出来るようにしておけば、普段からでも安心感が増すということにも繋がっていきます。

それでは、まずアンカーの簡単な創り方をご紹介します。

 

 自分をリラックス出来る状態にします(現在、何かでリラックス出来る物やアイテムがあればそれを活用しても良いですし、お風呂に入っている時、TVを見ている時など、どのような状況でもリラックス出来る状態であれば何でも大丈夫です)

 次に、そのリラックスした状態に自分の心身を委ねます(出来れば少し長く、そして、眠気をもよおす位の状態までリラックス出来ればベストですが、そこまででなくても大丈夫です)

③ 最後に、そのようなリラックスしている状態で、自分なりのアンカーを結び付けます(5回程度行います)

 

この③での「自分なりのアンカー」というのは、例えば胸に手を当てる、指でOKの印を作る(親指と人差し指をくっつける)、深呼吸するなど、自分なりのやりやすい方法で大丈夫です。
スポーツ選手などは、ポーカーフェイスも大切な要素ですから、前歯の後ろ側を舌で触る、などのように目立たず、瞬時に行える方法を取り入れている方も多いです。

栗山さんのケースを例として挙げると、

 

① 「タグ」を触ってどんどんリラックスしていく

② その状態を心身共に味わう

③ 充分リラックスしていると感じたら、自分の身体にアンカーを刻み込む(先の前歯の後ろ側を舌で触るなど)

 

これだけで完了です。
そして、これが習慣化されてくると、栗山さんのケ-スでは持ち歩き用の「タグ」を今まで通り活用することも出来ますし、収録現場などでは身体に刻み込んだアンカーを人知れず活用することも可能になります。
そして、このように予備のアンカーを創っておくことで、

 

より安心感が増す

 

というプラスアルファの効果も産み出せます。
なお、アンカーを複数創っても構いませんが、習慣化していく事が大切なので、最初の内はある一つのアンカーを馴染ませていく方が効果を感じやすいかと思います。

 

すでに、何かしらの物やアイテムをアンカーとしてお持ちであれば、上記のようにもう一つのアンカーを創ることも可能ですが、もし、今現在、アンカーとしての何の物やアイテムも無いという方は、最初の①から③の方法でアンカーを創り出してみて下さい。
この際に、わざわざぬいぐるみや毛布などを最初のアンカーとする必要性はありません。
自分にとっての最初の唯一のアンカーとして、自分の身体に刻み込むという方法でも大丈夫です。

 

また、習慣化という意味では、リラックス出来る状況がいつも同じとは限らないかもしれません。
そのような際は、お風呂に入っている「今」がリラックスしているのであれば、そこでアンカーを創り、また、TVを見ている「今」がリラックスしているのであれば、同じくそこでアンカーを創ります。
そして、ポイントはリラックスしている状態に気づくことと、ここで創っていくアンカーは同じ方法を採用するということです。
つまり、今のケースではお風呂に入っている時と、TVを見ている時に創るアンカーを同じ方法にするということです。

これで、あなた自身の唯一無二の、そして、いつでもリラックス出来るアンカーが出来上がっていきます。
そして、これを応用することも出来ます。

例えば、アンカーを活用してリラックスした状態に自分を導いていきます。