安楽死から考える肉体的苦痛と精神的苦痛 ~真のコミュニケーションという視点も~

くらんけ さん:
『 (致死薬の入った液体を)飲もうとすると、これ迄の事が走馬灯と言ったらおかしいですけど、色々考えて来た事とか、家族であった事とか、ペットの事とか色々思い出して。 今まで家族に助けられてた事、自分が助けて貰ってた事が揺らぎの一つの要因でしたね。 』

 

こうして、くらんけ さんと父親は共に日本に戻って来ました、、、

 

ところで、ここはあくまで私個人としての私見になりますが、くらんけ さんは父親の言葉における『 親の務め、日本の社会がそうだから 』ではなく、一人の人間として見て貰いたかった寂しさなどが精神的苦痛となっていた面もあるのかもしれないと私個人的には感じた次第です。

しかし、父親の『 生まれて来てくれてありがとう(お礼) 』との言葉により、その精神的苦痛が幾分かでも和らいだ事でくらんけ さんは再び生き直す事を決断したのかもしれないとも感じました。

 

【 岡部 宏生さん(男性:66歳) 】

最後の4人目はALS患者の岡部さんですが、岡部さんはある裁判の傍聴を続けて来ていました。

その裁判というのが、2019年に薬物投与による嘱託殺人などの罪に問われた医師の裁判であり、医師が有罪と判決された事について記者会見で問われると、

 

岡部さん:
『 この事件が起き、裁判が始まってから生きる事と死ぬ事の選択の問題にされ、同じ病気や障がいのある者、仲間同士の分断が広がっています。 』

 

岡部さんは病の進行により話す事が出来ない為、目で文字盤を追う事で他者とのコミュニケーションを取っていますが、岡部さんもALS発症後には将来を悲嘆し何度も自殺を考えていたそうです。

そして、ALSの場合では自力での呼吸が出来なくなる為、「人工呼吸器を付けて生きるか」、あるいは、「人工呼吸器を付けずに死を迎えるか」という選択を迫られるそうですが、約7割の患者さんが人工呼吸器を付けずに亡くなる(という選択をする)と言われているそうです。

 

そして、岡部さんも当初は人工呼吸器を付けずに亡くなる事を考えたそうですが、障がいや病気では無い人にも現状を知って貰う為に生き抜く事を決断したそうです。

そして、岡部さんは安楽死が認められる事に危機感を抱いていますが、その事について、

 

岡部さん:
『 私も4割の時間は死にたいと思うくらい辛いです。 そんな時に「死なせてあげよう」と言われたら、間違い無く「なら、死なせて」と言ってしまうでしょう。 安楽死が本当に必要な人以外にどんどん広がってしまう事が恐ろしいです。 だから安楽死に強く反対です。 (中略) こんなに介護が大変ならば、自分の家族の介護負担を無くす為に安楽死しようという人が必ず出てくると思います。 (中略) 私も安楽死を具体的に検討した事もありますし、つい去年も体の辛さで死にたいと思った事があります。 私達に限りませんが、人は「死にたいな」と思う事もあります。 安楽死で死んでいけるような社会を目指すなら、希望を持てる社会ではありません。 』

 

では、番組からの紹介はここで終了になりますが、今回は特にシンプルに締め括りを試みていきます!

 

 

【 番組内の発言のポイントから 】

まず最初に、

 

肉体的苦痛も精神的苦痛も・・・

その真の痛みは当人にしか分からない・・・

 

という点を、特に周りの方々が最初に理解しておく事は大切で必要になるように感じます。

なぜなら、

 

肉体的苦痛も精神的苦痛も・・・

誰かが代わってあげる(肩代わりしてあげる)事は出来ない・・・

 

からです。

しかし、番組内の発言にあった、