PFAS(ピーファス)問題から考える二者択一の「二者」の真の意味

【 化学メーカー3M 】

世界的な化学メーカーの「3M」はミネソタ州ワシントン群で「1950年代」からPFASを製造し、PFASを含む廃棄物を同地で《 長年に渡り 》処分していました。

するとワシントン群では、ここ20年の間で10代のガン発症率がミネソタ州内の他の地域より1.7倍と高くなり、アマラさんが通っていた高校でも他に4名の生徒がガンを患っていました。

 

ちなみに、これも前回のTOPICSで《 人新世 》に関する日本の別府湾の海底で行われた調査も取り上げました。

その中で『 海底地層に現れてくる「1950年頃」からの痕跡の変化が急激に増加しています 』という紹介をしましたが、《 繋がりと重なり 》という視点を幾度も伝えている私なりの《 真意 》を《 感じ入って 》貰えれば、、、

 

【 責任を認めた3M 】

3MはPFASの一部であるPFOSとPFOAの有害性を認め、2000年に製造中止を宣言します。

しかし、その後に同社の工場で働く社員がPFASによる健康被害を訴えるなどで、2002年に工場の敷地内の地下水からPFASの有害物質の検出がされたと発表します

 

まさに、この2002年にアマラさんは誕生し、ミネソタ州が州内の飲料水の水源調査を行った所、PFASの有害物質が検出され14万人が飲料水として飲んでいた事が判明しました。

そして、2010年にミネソタ州は環境と飲料水に損害を与えたとして3Mを提訴し、2018年に汚染除去の費用等として3M側が約1、200億円を支払う事で和解しますが、この金額も実際のPFASの除去には到底足りない《 付け焼き刃 》のものでした、、、

 

( ※ この画像は3Mの工場ではありません )

 

【 法規制への抵抗勢力 】

ミネソタ州では《 発生源 》からPFASを削減する(消失させる)事が唯一の方法と考え、化学メーカー等の業界に製造過程や製品でのPFASの使用を中止するように求めます。

実は、ミネソタ州議会は2015年頃から「全てのPFASの使用を制限する」PFAS全面規制法案の成立に向け取り組んで来ていました。

しかし、その成立を阻止する為の(他の州や業界団体などからの)強い圧力や、時には脅しなどの《 横やり 》が多々入って来ます。

 

【 アマラ法の成立 】

このように法案成立が停滞している中、アマラさんは日々体調が悪化していく状態にも関わらず、昨年の議会での発言の為に《 命を賭して立ち上がり 》ました。

当然ながら、ここでの訴え(発言)はアマラさん個人の損害賠償などでは毛頭無く、これ以上多くの人々が被害に遭わない為にという《 想い 》からです、、、

 

そして、その後すぐの昨年の4月14日にアマラさんは他界されますが、4月17日に規制法案が可決されます。

故に、この法律は「アマラ法」と呼ばれるようになりました。

 

なお、この法律でもPFASの全面禁止は2032年1月からの予定であり、それ迄はカテゴリー別の製品の販売または配布を禁止するなどの段階的措置が取られるそうです。

そして、番組からの質問に対し、ミネソタ州の保健局担当者は次のように《 声を寄せて 》いました。

 

『 多くの人はPFASの有害性や水以外からも体内に入る事に気づいていない。 これ以上の被害を防ぐ方法は世界で使用を禁止し、国がPFASの新たな使用を認めない事である。 環境へのPFASの流出が止まらない限り、私達はずっと健康被害を受け続ける事になる。 』

 

そして、現在の医学や科学でもアマラさんのガン発症とPFAS等との因果関係は明らかにする事は難しい中でも、実際に規制法律の《 体現 》が出来たという事です、、、

 

 

【 日本企業を筆頭としたプレッシャー・グループ 】

EUでも全面規制の方向での動きが進みつつある中、ミネソタ州と同様に反対の声も多く、全面規制に反対する「最大のロビー団体」の一つが《 日本の産業界 》だそうです、、、

なお、ロビー団体とは政治家に対して行われる各種団体や陳情団などの、自らの利益のみを目的とした働きかけ(ロビー活動)であり、圧力団体や利益集団やプレッシャーグループと呼ばれます。