迷いや悩みには丁寧という側面もある ~元裁判官から学ぶ視点~

ところで、親や学校の先生や、いわゆる《 大人 》という立場が世の中や社会にはありますが、子どもというのは時に知ってか知らずか悪い事や間違いなどをしてしまう事もありますし、それは私も同様です(笑)
また、このような事は大人(のみ)が存在している職場などでも起こる事もよくあります。
そして、このTOPICSでは、

 

教育とはお互いに育(はぐく)み合うもの・・・

 

と幾度もお伝えさせて頂いております、、、

その後の木谷 氏は50歳の時に地方裁判所の裁判長に就任します。
その最初の年、母親が自らの幼い3人の子どもを殺害し、自らも命を絶とうとした裁判がありました。
この時に争点となったのが、当時うつ病を患っていた母親の責任能力の有無でした。

精神鑑定も行われた中、検察側は責任能力が有ると主張し、弁護側は無しと主張し、検察側は再度精神鑑定を行う要求をして来たそうですが、木谷 氏はそれを退け、異例の無罪という判決を下します。
と言うのも、裁判の中で色々と母親の事情や背景などを聴き取り、更に同じくうつ病を患っていた一番上の男の子から殺してくれと依願されたなどがあったそうです。
そして、更に異例だったのが判決文の中で《 補足説明 》をし、被告人のその後の人生にまで向き合おうとした事だそうで、それが次のようなものでした、、、

 

《 法律論で考える限り、被害者が子ども3名である事は言うまでもないが、やや別の見方をすれば、最も決定的な被害を受けたのは、慈しみ育てて来た愛児3名を一挙に失った被告人自身であると言える。
  その上、被告人は強烈な体験により心に生涯癒やす事の出来ない深手を負っている。
  本件については刑罰の限界に照らし、慎重の上にも慎重な判断がなされなければならない。 》

 

そして、特に当時の裁判では補足説明がされる事もほぼなく、殺害をしておきながらも無罪という判決には一般の人からは否定的な声が多数上がる事も考えながら、木谷 氏は補足説明に次のような思いを込めたそうです、、、

木谷 氏:
『 検察官に対する説得、社会一般の人に対する説得、それと本人に対する語り掛けというような色んなものが含まれている、、、と思います。 』

ちなみに、木谷 氏はこの母親とその後に再会し、その時にも色々と話をしたそうです、、、

 

ところで、この判決への賛否や是非はともかくも、これもTOPICSで繰り返しお伝えしております、

 

想像力からの他人事と自分事・・・

 

という視点にも繋がっております、、、

そして、木谷 氏におきましても裁判官時代には、例えば覚醒剤事件で被告人のやっていないとの言い分に耳を傾け、色々と調査を積み重ねて保釈を許可したケースでも、その保釈中に覚醒剤の使用で再逮捕され、今度は被告人も認めているなどの《 逆もまた真なり 》の如くの《 裏切り 》という経験もあったそうです。
ただ、木谷 氏はその最初の事件(最初の逮捕)は無罪で、二度目の事件(再逮捕)は有罪との判決を下しましたが、その事に対し、、、