Xジェンダーと性別ゼロ(後半) ~多様性が生み出す新たな少数派にも目を向ける~

では、お二人のコミュニケーション(やり取り)を少し見てましょう、、、

中島さん:
『 僕は生まれた時は女の子の戸籍に入っていて、体も女の子だったんだけど、今はどっちでもない感じで生きてるかなぁ。 』

空雅さん:
『 どっちでもある、っていう人とかもいるけど、潤さんはどっちでもない? 』

中島さん:
『 どっちでもない、って感じ。
  その女の子じゃないなぁっていうのに気づいた時は、女の子じゃないなら男の子だって思ってたから、自分が。
  どっちかしか選択肢がないと思ってたから、なんか僕の場合、自分自身の肉体そのものには、そんなに嫌悪感がないなぁっていう事に気づく出来事があって。
  僕はだから今、胸当てもしてないし、下も手術してないし、ホルモン(治療)もしてないし、肉体的には生まれたまんまの体で、まぁ運良く身長がチョット高かったっていうのもあるかなぁ~(笑) 』

 

空雅さん:
『 今の潤さんの、その生き方は自分に嘘をつかない、正直な生き方? 』

中島さん:
『 うん、だと思うよ。 』

 

空雅さん:
『 男・女ってふたつに分かれてるじゃないですか。
  それで、そこに疑問を全然もたずに、ずっと丸(○)をして(おそらく履歴書等を)出す人も一杯いるわけじゃないですか。
  もうちょっと疑問に思って欲しいなぁって、ひとりひとり違うわけだから。 』

中島さん:
『 本当にセクシャリティってひとりずつ違ってて、この枠組みの中の人は価値がある人ねぇみたいにしちゃうと、絶対にその枠組みから漏(も)れる人が出るんだよね。
  あるいは、この枠の中が良い、この枠の外は悪いみたいな。
  で、正常・異常とか
  だから男女の枠組みがはずれるって社会は、きっとそういう枠組みもはずれた社会なんじゃないかなぁと思ってて。 』

 

空雅さん:
『 すごい自分が思うのは、今、男として生きてはいるけれど、なんか男扱いをして欲しいわけじゃなくて、空雅として扱って欲しくて、その枠組みがはずれて、みんな人だよ、っていうのは、そういう事かなぁって。 』

中島さん:
『 うん、そうだね 』

 

では、今回の後半も佳境に入って参りますが、法的にも男性として認められる中、一方で違和感を抱え続けたまま3年ほど経った2018年5月、空雅さん23歳の時です。

空雅さん:
『 今、自分の性別を表現するとしたら、男性でも女性でもない、性別がない状態ですね。
  女性じゃなかったら、性別はふたつしかないと当時の自分は思ってたので、じゃあ(自分は)男性だ!って、そこしか選ぶものがなかったので。
  ただ、アルバイトをしてて、男の子なんですよって言われたりとか、まぁ男の子扱いをしてもらえるようになってから、きっとこれも違うなっていうのに、だんだん違和感がチョットずつ積み重なっていったような感じで。
  で、今では、もう男性でもないんだなぁっていうのに気がつきました。 』

 

そして、この時の経過と共に、お名前を「空雅(さん)」から「このみ(さん)」へと変更しました。
また、男性ホルモンの注射も止め、女性ホルモンの薬を飲み始めていました。
と言うのも、このみ(空雅)さんは体の男性化は望んでいない事と、ホルモンの調整をしないと更年期障がいのような症状が出てしまうからでした。

 

そして、高校生の時から抱き続けてきた、もうひとつの夢である声優へのチャレンジは中断していました、、、なぜなら、、、