「医は仁術(仁道)」から考える「自己矛盾」 ~プラシーボ(偽薬)効果や未治療死などからも~ 

そこで、

 

未治療死とは・・・

病院に辿り着く事が出来て、一命を取り留めたにも関わらず・・・

適切な医療を受けられずに亡くなる事・・・

 

と、(自然)災害時の医療状況の事を指しております。
そこで、1995年に阪神・淡路大震災が起こりました。
そして、この時の犠牲者は6,434人と集計されておりますが、この中で家屋の倒壊などによる「直接死」は約85%とされています。

そして、この約85%の「直接死」を後に詳細に検討したり、また、被災地の病院に入院した患者さん6,107人分の診療記録を調べた所、その内の527人が病院に辿り着いた後に亡くなっていた事が分かりました。
そして、その約1割(約50人強)が救えた可能性があった、、、と、この番組では紹介されていました。

なお、これは批判や非難という意味では決してありません。
当時も含め、このような大規模地震(自然災害)では、現地のライフライン(水道等)も止まってしまい、一度に多数の患者さんの治療に当たらなければならない事により、点滴や輸液などの医療物資も不足しますし、医療従事者の方々も同じく被災されているような状況です。

 

そして、ここでの「経験」と「時間」などの教訓から、2005年「DMAT(災害派遣医療チーム)」が創設され、現在では1万5千人ほどが登録し、AI(人工知能)も導入し(「D24H」という情報支援システム)、全国から災害現場へ駆けつける態勢が創り上げられています。

そして、2011年の東日本大震災においても、このDMATは多大な助けとなりましたが、この時には、DMATでも充分に対応出来なかった面がありました。
それが、

 

災害弱者と言われる人々への対応

 

でした。
と言いますのも、被災地の病院に元々他のご病気等で入院されていた方におきましては、医療物資の不足などで従来の治療が受けられなくなったり、その影響により他の病院へ転院する事になった場合でも、転院先の病院では同じ治療(例えば、高度医療に対応出来ない)などが受けられなかったりといったケースもありました。

更に加え、避難所でもご病気をお持ちの方や、避難生活の長期化によるストレスなどで体調を崩す方も多数いらっしゃり、これがいわゆる「災害関連死」と言われるものですが、この方々への医療提供が(充分には)行き届かなかったのも理由の一つとして紹介されておりました。

 

そこで、この時も教訓を汲み取り、2013年「AMAT(全日本病院医療支援班)」が設立され、DMATと共に、このような災害弱者と呼ばれる方々への支援態勢の構築が日々続けられています。

また、高知県では独自の取り組みとして、「地域災害支援ナース」という仕組みが創られており、例えば、A病院に勤務する看護師のBさん、そして、C病院に勤務する看護師のDさんが被災した際に、ご自身の勤務する病院に向かえない状況の折には、Bさんのお住まいの近くにC病院があれば、BさんはC病院で支援し、Dさんのお住まいの近くにA病院があれば、DさんはA病院で支援するという、「相互の繋がり」を活用した仕組みが「既に」創られているそうです。

 

そして、現在の新型コロナウイルスによる医療逼迫の状況の元で、もし南海トラフ地震や首都直下型地震が起こった場合に、ECMO(人工心肺装置)などにどのような被害が出るかなどの、(地震による倒壊などの)実験も実際に行われておりました。
ただ、これらの取り組みの多くが、