もしコロナ禍にヒトラー(のような存在)が現れたら ~嗅覚を磨く~

その後の1929年には世界大恐慌が起こり、ドイツもその波に巻き込まれ、失業者で溢れていた様相であり、先ほどの「混乱・混沌・虚無・退廃」などの「空気感」が蔓延している中、1932年の選挙でナチスが国会の第一党となり、翌年の1933年にヒトラーの首相就任に繋がっていきます。

その後のヒトラーは「演説・スピーチ」の活用を主とし、その効果を補強していく為に、飛行機を使っての全国遊説、記録映画の活用(この映画内でも演説・スピーチが多用されている)、そして、政府の管轄下にあったラジオ電波を支配していきます。

しかし、当時はラジオを持っている人々は少数であった為に、ヒトラーは安いラジオを開発するよう命令し、これを「国民受信機」として売り出しに掛かりました。
このように、人々の間にラジオが普及していくにつれ、このラジオから自らの演説・スピーチやナチス党大会の模様などを、聴衆の歓声や拍手などの音声入りで放送する事により、家庭の場そのものを自らの演説会場に仕立て上げていきました。

 

では、ここ迄のヒトラーの創り上げた「(時代)背景」にまつわる、全般的な「証言」を見ていきますが、この先も含め、この「証言」のご紹介におきましては、必要と思われる箇所は補足説明も活用致しますが、それ以外は、個人名などを特定せずに、(また番組内容通りではなく、私なりに整理した上で)無作為での列挙に留(とど)めておりますので、ここに皆さんの「嗅覚」を活用してみて下さい(笑)
ちなみに、私なりの「景色」として、「証言」内に《(括弧) 》を付している箇所がございますので、宜しければ、それらを「繋げて」「重ねて」眺めてみて下さい!

 

○(18歳の時にナチスの党大会に参加した男性)
『 ヒトラーの唱えたプロパガンダ、つまり「悪い敵がいて、それを打ち倒さなければならない」という《 言葉 》に《 心 》を動かされたのです。

  ヒトラーは《 まだ分別のつかない私 》から見ても、純粋に情熱的で雄弁な《 言葉 》の持ち主で、《 内容が正しいか、正しくないかは、さておき 》、かくも自由に演説する様子に私は《 心 》を奪われたものです。 』

 


『 声の調子を巧みに操って、《 ジェスチャー 》も的確でした。
  彼には魔力があるかのようでした。 』

 


『 まさに“ 過ちのない神 ”でした。 それが我らの総統でした。
  彼が正しく《 発言 》し、正しく《 行い 》、全てを私達の為に成し遂げたのです。
  総統が命じ、私達はそれに従う。 そう私達は《 信じていた 》のです。 』

 


『 ヒトラーは常に“ 神の意志 ”と述べました。
  新たな《 信仰 》を生み出そうとしていました。
  ドイツ人は《 支配 》民族であると。 』

 

○(18歳の時に教会での礼拝を終えて外に出た女性)
『 大勢の人が集まっていました。 ヒトラーが演説していたのです。
  街の広場などで行われていた彼の演説は当時大人気でした。
  家にはラジオが無かったので「何を話しているのか聞いてみたい」と叔父にお願いしました。

  《 好奇心 》からです。
  どんな話をするのか《 聞いてみたかった 》のです。
  彼の事は大きな噂になっていましたが、深く《 知る 》機会は無かったので。 』

 


『 ラジオを持っていない人は電気屋の前に並んで外で聞いていました。
  何が起きているか《 知りたかった 》から、それでも(外に並んでまでも)皆、聞いたのです。 』

 


『 演説冒頭の「総統がお話になります」という一言は、魔法の《 言葉 》でした。
  事前に《 予告 》されていたので、その時間になると家のラジオか公共のスピーカーで《 聞かねば 》なりませんでした。 』