「動機」を捉えるとは・・・ ~麻酔という医療特許と精神医療の身体拘束のケースから~

【 全ては金儲けの為に 】

名乗り出た一人が、医師で化学会の権威者のチャールズ・ジャクソンでした。

実は、モートンは公開手術に先立ち、ジャクソンに様々な相談を持ち掛けていました。

故に、聴衆の目を惹く為のガラス製の吸入器も、ジャクソンのアイデアによるものでした。

 

そして、モートンとジャクソンの間で、

 

「特許」を連名にする事で・・・

「名誉」&「お金」を山分けする・・・

 

という方向で手が打たれました。

 

 

そして、公開手術から1ケ月後、アメリカ特許庁が「吸入麻酔法」の特許を認めました。

ただ、既にこの時点で、

 

現代にも受け継がれている・・・

医学界の3つの問題・・・

 

が存在していました。

それが、次の3つです、、、

 

① エーテル : 「医薬品」

② フラスコ吸入器 : 「医療機器」

③ 吸入麻酔法 : 「医療法(治療や手術の方法など)」

 

 

モートンが取得した特許は、アメリカ国内で14年間有効でした。

故に、有効期間中は、

 

吸入麻酔法を行う全ての医師や歯科医は・・・

モートンに特許料を支払わなければならない・・・

 

という事です。

そして、これが更なる大論争を巻き起こします、、、

 

なぜなら、当時のアメリカ医学界では、

 

医療に関する発明で医師が特許を取得する事は・・・

倫理に反する・・・

 

という考え方が、一般的だったからです

つまり、医師が特許を取得して、金儲けをするのは論外という事です。

 

実は、モートンが特許を取得する50年ほど前に、医師のエドワード・ジェンナーが天然痘のワクチンを発明しました。

しかし、ジェンナーが仮に特許を取得すると、

 

特許料の支払いが足枷(あしかせ)になり・・・

予防接種を受けるのが難しくなるが故に・・・

多くの人にワクチンが行き渡らなくなる・・・

 

と考え、敢えて特許を取得しない「行動」を取りました。

 

 

このような背景もあり、医学界では「医療特許」は取得しない事が、暗黙の了承になりました。

故に、モートンが特許を取得した事で、「賛否」を含む様々な論争が繰り広げられたという事です、、、

 

【 漁夫の利を得たアメリカ政府 】

しかし、モートンは、

 

医学界の批判の声に・・・

目を向ける事も、耳を傾ける事もなかった・・・

 

という「行動」を取りました。

それどころか、エーテルにオレンジ香料を混ぜた、

 

新たな麻酔薬「リーセオン」を売り出す

 

という「行動」に出ました。

 

なぜなら、半年前に「アメリカ・メキシコ戦争」が勃発し、

 

多数の負傷者が出る戦地は・・・

金儲けに絶好の「大きな市場」になる・・・

 

と、モートンは考えたからです、、、

 

 

ところが、モートンの特許を認めたはずの、

 

張本人のアメリカ政府は・・・

モートンの特許を無視し・・・

無断で戦地の負傷者の治療に活用する・・・

 

という「行動」を取りました。

そして、こうしたアメリカ政府の「行動」は、次第に病院や個人医師、更に全米の医学界にまで広がりました。

 

こうして、モートンの特許は、

 

崩壊の一途を辿り・・・

大量の麻酔薬の「在庫」だけが残された・・・

 

という末路になりました、、、

 

 

一方、ウェルズは無償で亜酸化窒素の使い方を教えた事で、

 

少数ながらも支持者を得て・・・

自らの救いの道を模索する・・・

 

という「行動」を取っていました。

そして、当時の医学の先進地のフランスでは、吸入麻酔法の発明者は「ウェルズである」と広く知れ渡り、

 

自分への称賛の声を励みにしつつ・・・

新たな麻酔薬の開発に邁進する・・・

 

という「行動」を加味しました。

こうして、

 

クロロホルムが誕生!!!

 

しました!

 

しかし、ウェルズはまたしても自らが被験者となり、しかも、クロロホルムには「依存性」があったので、

 

次第にクロロホルム中毒に陥る

 

という事態になりました。

 

更に、中毒症状の精神錯乱で事件を起こし、逮捕れました。

そして、有罪判決を受け、隠し持っていたクロロホルムを獄中で自らに投与し、足の大動脈を切断して自死しました、、、

 

 

一方、モートンはアメリカ政府に対し、特許料の代わりに「報奨金」の支払いを求める訴えを起こしました。

しかし、何度も却下され、その度に再度訴える事を「繰り返して」いる内に、1860年に特許の有効期間が切れてしまいました。

 

更に、1862年ニューヨークの巡回裁判所では、14年前に認められたモートンの特許は、

 

そもそもが「無効」だった

 

との判決を下しました。

こうして、モートンは麻酔法による特許で大金得る事もなく、生涯の幕を閉じました、、、