第70回:『 カウンセリングの心・思い ~「レインツリーの国」から学ぶ聴覚障害も含め~ 』
【 その他参照ワード:感音性難聴、伝音性難聴、中途失聴・難聴、聾・聾唖 】
S.Light.M(カウンセリング・ヒプノセラピー・レイキヒーリング・各種セミナー&認定講座)の瀬川です!
カウンセリングは、それを行う人の数ほど方法があります。
また、どの方法が良くて、どの方法が悪いというのも(基本的には)ありません。
故に、今回は何かを身に付けた人が行う特殊な方法論ではなく、皆さんも何かの相談をされた時に、心に留め置いて貰えれば活用出来る内容なので、気軽に読んでみて下さい!
【 レインツリーの国 】
今回は一冊の小説を元にして進めていきます。
それは「レインツリーの国」(有川 浩:新潮文庫)です。
ちなみに、小説の一節や物語を元にして話を進めていくのは、ヒプノセラピー(催眠療法)では暗示療法として活用される手法です!
「レインツリーの国」は、今までもTOPICSで紹介した「図書館戦争」(有川 浩:角川文庫)の中の一つのエピソードとして登場する小説です。
「図書館戦争」では耳の不自由な女性に対し、聴覚障害(注:私個人的には「障害」という言葉は好みませんが、今回は便宜上使用します)を扱った小説を薦めたことで、「人権侵害だ! 配慮が足りない!」と糾弾される原因となった小説です。
そして、この小説は耳の不自由な女性の主人公の「ひとみ」と、男性の「伸行」との恋愛ストーリーです。
「ひとみ」と「伸行」は、ある小説の感想をメールを通して話し合っていく内に、徐々にお互いの心を寄せ合っていく所から始まります。
そこで、聴覚障害の詳細を知らない人も多いので、最初に小説から少し紹介・補足します!
【 「中途失聴・難聴」と「聾・聾唖」の違い 】
「ひとみ」は「中途失聴・難聴」に区分されます。
「中途失聴・難聴」とは、人生のどこかの段階(日本語を習得した後)で聴覚障害になった場合です。
「聾・聾唖」とは、日本語を習得する以前(多くは物心がつく前)に障害が発生していた点で区分されます。
「中途失聴・難聴」は、音はほとんど聞こえないが、話すことは出来る場合が多く、第一言語は日本語です。
「聾・聾唖」は、ほとんどが第一言語が手話であり、日本語は第二言語扱いになります。
日本語が第二言語扱いというのは、日本語を話せる人が他の外国語(第二言語)を一から学ぶのと同じで、とても努力や頑張りを要します。
小説の中では「話せるのに聞こえない」という点で、健聴者から理解されにくいのは「中途失聴・難聴」の方が多いと描かれています。
【「感音性難聴」と「伝音性難聴」の違い 】
更に「ひとみ」は「感音性難聴」に区分されます。
「感音性難聴」とは内耳から奥に原因があり、聴力自体に原因があるので、補聴器をつけて音のボリュームを上げてもあまり効果は期待出来ないそうです。
むやみにボリュームを上げても雑音が増えるだけというケースもあるそうです。
「伝音性難聴」とは外耳や中耳に原因があり、音が伝わりにくい難聴です。
聴力自体は残っているので、治療や補聴器の効果が期待出来るそうです。
聞き取りにくい音を大きくすることで、聞こえやすくなるという意味です。
そして、私自身も小説を読むまで全く知りませんでした!
宜しければ、この機会に少しでも知ってみて下さい!
「感音性難聴」の「ひとみ」は補聴器を活用しながらも、ほとんど音の無い世界で人生を送っています。
故に、「伸行」と一緒に外出しながらも、健聴者である「伸行」には分からない体験が色々と訪れてきます、、、