プラセボ効果の活用 ~若返り手術というアンチエイジングから~

【 若返り手術のキッカケ 】

1914年に第一次世界大戦が勃発し、ボロノフはフランスの軍医として従軍します。

そして、戦禍の最中の1917年、フランスで最高権威のコレージュ・ド・フランス生物学研究所に入所し、若返り手術に取り組み始めます。

 

ボロノフが若返り手術の発想を得たキッカケは、エジプトの宮廷医時代の出来事でした。

それは、宮廷の宦官(かんがん:去勢された男子で宮廷に仕える召使い)の多くが、実年齢よりも「老けて」いて、「短命」という点でした。

そこでボロノフは、「精巣には、生命力に関わる何かがある」と考え始めます、、、

 

 

ところで、宦官は世界の多くの国で存在していましたが、中でも中国の趙高(ちょうこう)は悪名高き!?で有名です(笑)

趙高は徐々に権力を手中にしつつ、大臣達が自分を支持するか否かを見極める為に、

 

実際は「鹿」であるのを、「馬」と言い放った

 

という逸話があります。

つまり、趙高が「馬」と主張する意見に、誰が「反論」するかを見定めたという事です。

勿論、反論した大臣は更迭されます。

 

趙高の言動は、今で言う所の「今だけ 金だけ 自分だけ」の体現かもしれません。

そして、この趙高の逸話が「馬鹿」の由来とも言われます、、、

 

 

【 権威とメディアを利用して成り上がる 】

若返り手術には、更に、もう一つのキッカケがありました。

それは、先のカレルが1912年に行った「不死の細胞」の実験でした。

 

これは、ニワトリの心臓細胞の一部を取り出し、特殊な栄養培地に入れる事で、細胞を生かし続けた実験です。

そこで、ボロノフは「適した」培養液さえあれば、細胞は生き続けると考えます。

 

そして、精巣はリンパ液で包まれている事から、リンパ液を栄養培地にした実験に取り組みます。

この実験には、年老いた(人間では70~80歳ほど)オスの羊が対象になりました。

実験の内容は、発情期が始まったばかりの若い羊から精巣(片)を取り出し、それを年老いた羊の精巣に貼り付けるものです。

そして、貼り付けた精巣(片)がリンパ液に包まれる事で、次第に一体化する「目論見」でした。

 

 

実験から1年後、年老いた羊の精巣の生体検査を、細胞学の権威であるエドアー・ルテレールに依頼します。

するとルテレールは、細胞は生き続けていると「お墨付き」を与えました。

 

そして、ボロノフはここ迄の研究内容を学会発表の前日にメディアに「リーク」し、自分に注目を向けさせます。

そして、1919年にフランス外科学会で論文を発表するものの、成功例だけを取り上げ、「失敗例は不問」にしました。

 

学会の反応は「懐疑的」な一方、メディアは大々的に取り上げ「称賛」しました。

そして、ボロノフは近々人間にも手術を行うと発表し、その記事が瞬く間に全世界を「駆け巡り(今で言う所の拡散され)」、ボロノフは時代の寵児となります。

ちなみに、「後に判明」しますが、ボロノフが実験対象とした羊の年齢は定かではありませんでした、、、

 

 

ところで、

 

科学とは、探究心が原点

 

です。

故に、

 

異なる意見や質問は、有り難いメッセージ

 

です。

しかし、科学に限らず、最近は「聞く耳を持たない」人が増えています、、、

 

【 情報に接する時の注意点 】

ボロノフの発表が注目を集めたのには、「ある訳(わけ)」がありました。

当時の第一次世界大戦では、フランス軍兵士だけで140万人が死亡しました。

更に、出生数も大戦前の1913年と比較すると、1917年には半数に落ち込んでいました。

 

つまり、若返り手術が「人口減少対策(解決)」になると、多くの人が期待しました。

そして、同じ頃、世界中の医師の間でも若返り手術が流行し、「成功を喧伝」する医師が相次ぎました。

 

 

ところで、現在のメディアの体たらくから、SNSやYouTube等のネットから「情報」を得る人が増えています。

勿論、悪い事ではありませんが、

 

ネットの情報は「玉石混合」

 

という、嘘やフェイクやデマも多いです。

「考える」為の出発点が、「知る」という事ですが、

 

水源が汚染された水は、飲めたものではない

 

のが事実であり真実です。

そして、特に、

 

他者からの情報を鵜呑みにしない

 

のが大切で必要です。

 

 

ちなみに、「水源」や「鵜呑み」という言葉を活用しましたが、今年は「水」の問題も増大していくでしょう、、、