評価し評価される事の難しさ ~ノルウェーの世界一豪華な刑務所から考える~

そして、番組では現在も収監されている、この加害男性に手紙で質問状を送付した所、その返信には反省や謝罪の言葉も一切見られず、未だに当時と同じ主張を繰り返している内容でした。

そして、《 今現在 》のノルウェーの刑務所では社会復帰の為に必要な寛容という方針は変わらずに継続されており、国民の多数も寛容な処遇に誇りを抱き、《 概ね理解を示し 》賛同しているそうです。

 

ちなみに、ノルウェーでは修復的司法と呼ばれる、加害者と被害者が《 直接話し合い 》、加害者の更生と被害者の回復を目指す手法が取り入れられており、一時、厳罰化を進めた時期もあったそうですが再犯率は6~7割程に高止まりをしてしまい、この修復的司法を取り入れた所、現在の再犯率は約20%程まで下がった為に、これも再犯率を抑える為に役立っており、更に被害者支援が充実している事も再犯率の低さの一因と考えられているそうです。

そして、先のウトヤ島で18歳の娘さんを殺害されたお母様に対するインタビューでのコメントが以下のものになります。

 

『 (事件後は)耐えられず自殺したいと思いました。
  生き続けることは辛すぎると。
  でも私にはもう1人娘がいます。
  妹を失った彼女をさらに悲しませることはできませんでした。

  (中略)

  事件後○○(加害男性)受刑者が持つ様々な権利に苛立ちました。
  その場で警察に殺された方がよかったと私は思いました。
  それが一番良い解決法で彼を激しく憎みました。

  (中略)

  「○○受刑者を殺してしまおう」と言いたくなるのは当然です。
  でもその道を選ばなくてよかったです。 』

 

では、この番組からの紹介はここで終了ですが、今回の趣旨は刑罰制度などを取り上げたり考えて貰うというものではありません。

この番組からは《 事件当時と今現在のノルウェーの視点 》と《 今現在の日本の視点 》が含まれているという事だけ、今は頭の片隅にでも入れておいて頂ければ大丈夫です!

 

では、今回の最後の素材として、『 テレメンタリー2023 』(テレビ朝日)という番組の「となりにいる ~大学生が向き合う再犯防止~」(KSB瀬戸内海放送)の回からごく一部だけご紹介してみます!

香川大学では「さぬき再犯防止プロジェクト PROS( Prevent(防ぐ) Re-Offense(再犯) Sanuki)」という取り組みが2020年8月に発足し、大学生達が元受刑者と《 直接交流 》し、社会に居場所を創る活動が行われています。

ところで、日本における2021年に検挙された刑法犯の内、再犯者が占める割合が48.6%となっているそうです。
そして、刑務所の出所者の約4割が5年以内に再び刑務所に戻っているそうです。

では、このPROSの顧問をされている香川大学法学部教授の平野 美紀 氏のコメントを見てみます。

 

平野 氏:
『 学生が「悪いことをした人は刑務所に行って当然」と(思っている)。
  死刑では無い限りは基本的には社会に戻って来る訳なんですけど、そこは全然発想が無いんですよ。
  学生に学んで欲しい事は想像力ですかねぇ。

  (中略)

  失敗した(犯罪を犯した)という事実だけに目を向けるのではなく、(出所した後の受刑者の)生き辛さの方に目を向けて、失敗した人の再出発を受け入れる社会になっていくという事がこれからの社会の課題だと思っています。 』

 

ちなみに、前回のTOPICSでは性暴力等(からの回復)も取り上げましたが、この番組では女子少年院の入院者の約6割が(身体的・心理的)虐待などを受けた経験があると報告されていると紹介されておりました。