評価し評価される事の難しさ ~ノルウェーの世界一豪華な刑務所から考える~

この刑務所には凶悪犯が収監されていますので、周囲には高い壁やサーチライトも設置されています。
ただ、刑務所内部には鉄格子もほとんど無く、許可を貰えば社会復帰の為の準備として7~8時間の外出も可能となっています。
そして、受刑者が過ごす監房は個室であり、この窓にも鉄格子は無く、専用の冷蔵庫やシャワーやDVDも含めたテレビも備え付けられています。

また、面会室では配偶者やパートナーと週に2回面会でき、そこには監視用の窓も無く、性行為(SEX)をする事も可能であり、その為のタオルやシーツの備え付け、更にコンドーム(避妊具)まで準備されています。
同じように、子どもなどの家族とでは別の面会ハウスも存在し、週末に1泊か2泊、家族水入らずで過ごす事も出来ます。

 

また、刑務所内には小さなスーパーマーケットのような施設もあり、受刑者はそこで購入した物を自由に料理したり飲んだりも出来ます。
そして、社会復帰の為の資格取得に向けた様々なプログラムが用意されており、その作業場では電動ノコギリなども自由に使え、行政が全ての設備費を負担しています。
そして、このようなハルデン刑務所に入る為に、警察と取り引き(勿論、ノルウェーでは合法の範囲として)をする受刑者も多数います。

そして、番組ではノルウェーにおいても《 全てに賛同 》されている訳ではないが、ノルウェーにおける再犯率が(当時の)5年間で25%と世界で最も低い事などが色々と議論されていると紹介されていました。

そして、見学を終えたアン氏の締め括りのコメントが以下のものでした。

 

『 職業訓練のプログラム、刑務官の親身な対応が功を奏している事は明らかです。
  しかし、受刑者の更生にこれほど豪華な設備が必要かどうか、このやり方で実際に再犯率を大幅に下げる事が出来るのなら、多少の贅沢は許されていいでしょう。

  ハルデン刑務所を後にして、思いを巡らせているの、、、
  この3日間、私が目にしてきたもの、果たしてそれは空虚な設備に莫大な金をつぎ込んだユートピアに過ぎないのか、それとも、犯罪者を更生させる為の切り札、彼らの光明となり得るのか??? 』

 

と、あくまで当時のTOPICSからの、ごくごく一部のご紹介でしたが、何となくのイメージが掴めて頂けていれば充分です(笑)

 

では、ここからは先日の2023年1月21日に放映された『 報道特集 』(TBS)の「世界一人道的な処遇 ノルウェーの刑務所は今」の特集から少しだけご紹介してみます!

ノルウェーのウトヤ島という所で12年前に69人を銃で殺害するという、とても痛ましい凄惨な事件が起こりました。
そして、この犯罪を犯した男性は2011年7月にも政府庁舎前で爆弾を爆発させ8人を殺害していました。
逮捕された後の法廷でこの男性はナチスの敬礼をしたり、反省や謝罪の言葉も一切無く、自らが起こした事件を正当化する主張を繰り返しました。

 

そして、ノルウェーには死刑や終身刑は無く、この男性には最高刑の禁固21年の判決が言い渡されました(なお、矯正が不充分と判断された際には収容期間が延長される場合もあるそうです)。
この男性が収容されている刑務所でもテレビが備え付けられ、ゲームも出来、運動部屋など3つの部屋に出入りする事も可能だそうです。

そして、この《 事件直後 》に行われた世論調査では重大犯罪への厳罰化を求めたノルウェー国民は66%に昇りました。