心が置き去りにされている現代 ~コロナ禍の精神科病院から~

都内の精神科病院であるX病院で200人規模のクラスターが発生しました。
その発生から2週間以上経ても収束の兆しが見えずに、最終的にはX病院では患者190人、職員59人、合計249人が感染し、内8名の方がお亡くなりになられました。

そして、X病院から松沢病院に多くの患者さん達が搬送されて来ましたが、その中には、それ迄のX病院での入院期間中における床ずれにより、お尻の骨にまで壊死が達してしまっている方もおられました。
そして、X病院では同じ大部屋に陽性者と陰性者を混在(同居)させていました、、、

 

X病院に入院していた(陽性となった)患者さん:
『 恐怖ですよ、恐怖。
  保健所に自分で電話して、感染が広がっていて、すぐ退院したいと。
  このままだと自分がかかって死んでしまうから退院したいって言ったんですけど、退院できないし、もう逃げるに逃げられなくて。

  社会に殺されるなと思って、、、 』

 

そして、このX病院は番組の取材を受けるのを拒否しましたが、X病院の関係者の証言で、次第に色々な事が判明していきます、、、

 

X病院の医療スタッフ:
『 一般の病院に比べて建物も古いし、中も汚いし、体を右とか左に向ける体位交換枕の数が十分でなかったりとか、物品も不足気味というか、あまり揃っていないような、精神科特有の環境ですね。 』

 

X病院の医療スタッフ:
『 ベッドの部屋と畳の部屋があります。
  個室というのは保護室しかなかったので。
  病院を見れば分かるのですが古くて汚くて、部屋も扉がなかったり、扉があっても木の引き戸ですね。 』

 

X病院の医療スタッフ:
『 患者さんは入院歴が長いので慣らされてしまっている部分もあると思うんですけれども、一般常識で言ったら、かなり狭いし、きつい環境だなとは思います。 』

 

ところで、このX病院はコロナ発生直後、すぐに保健所に連絡し、指導を仰いでいました。
しかし、保健所の指示はなるべく隔離をすること、ただし、陽性者を別の部屋に移すことは個室や空室が無い状況では行わない、というものでした。
そして、実際に満床に近い状態でした、、、

 

X病院の医療スタッフ:
『 患者さんをどこかに移動させることが出来なくて、保健所は元々いる部屋からは動かさない方がいいという風な指導だったので、それで各部屋に留まって頂いた状態でしたね。 』

 

X病院の医療スタッフ:
『 (陽性者と陰性者を)分けた方がいいのかなとは思いましたけど、「移しても余計に広げてしまうだけだから、今のままでいきます」と。

  どんどんどんどん陽性になっていくのを待つしかない状況、、、 』

 

そして、このような指導に対する保健所の回答は以下のような内容でした、、、

○ 入院患者は病棟内を自由に行動しているから、病室内に隔離するのは困難。
○ 故に、入院患者は感染者以外は全員濃厚接触者となる。
○ その為に、病棟の患者がいるスペース全体をレッドゾーン(汚染区域)とし、ナースステーションをグリーンゾーン(清潔区域)とする。

このような指導に対し、、、

 

X病院の医療スタッフ:
『 感染していない患者さんも大勢いたんですよ。
  その人も皆、感染陽性扱いにして、病棟全体をレッドゾーンにして閉じ込めてしまうのは心苦しかったです。

  みんな感染しちゃって、陽性になって治っちゃえば解決だ、みたいな、、、 』

 

そして、今度は別の精神科病院であるY病院でもクラスターが発生してしまいました。