後半:メンタル(心)を整えるには現実的手段の活用も ~無戸籍(者)と私の行政書士体験から~

行政書士の業務というのは多岐に渡っておりますが、その中の一つに、外国人の方が日本で働いたり、日本人と結婚する際などに入国管理局に申請する在留資格許可申請というのもあります。
当時(おそらく今でも大差は無いかと思われますが)においては、この在留資格許可申請を行えるのは弁護士と特別研修を受けて合格した一部の行政書士のみが行う事が出来ました。

私も研修を受け、その後は幾度か在留資格許可申請業務も行っておりましたが、ある女性の方からご依頼を受けました。
そして、お話を伺い、申請する際の多くの添付書類等において日本語訳が必要となる事もあり、知り合いの行政書士の方と共同で業務に当たる事にしました。

では、ここからがその本題に入って参りますが、おそらく少々難しく感じるかと思われますが、何とな~くのイメージが掴めればそれで充分ですので、少し視点を大きくし、概要だけを捉えるようにしてみて下さい(笑)

 

その女性の方は日本人であり、アメリカ人の男性と結婚をしておりました。
相談内容というのは、そのご夫婦が養子を授かり(貰い受け)、そのお子さんと外国において(特別)養子縁組が成立したので、日本の役所へ届出をして欲しいとのものでした。

と、ここ迄は比較的難しくはなさそうなお話ではあるのですが、その養子となる子どもさんは香港の出生であり、中国返還前の香港の裁判所で成立した養子縁組みについて、日本ではどのように戸籍に記載されるのか???日本ではそもそも戸籍に入れる事が出来るのか???という事が《 日本では前例が無い 》という大きな課題となって私達の前に立ちはだかりました、、、

当然ながら世界各国で法律の中身も違いますし、緩やかな国もあれば厳格な国もあります(笑)

 

そして色々とお話を伺い、更に調べていくと、お父様に関してはアメリカ人である事からアメリカの州法が適用され、お母様(ご相談者)は日本人である事から日本の法律(民法等)が適用され、養子となった子どもさんは先のように中国返還前の香港での出生であり、出生当時の香港はイギリス国属領であった事から国籍等はイギリスとなる、などの事が判明していきました。

更に、既に養子の子どもさんはお父様の出身国であるアメリカに帰化してお名前も変更されており、しかも、さらに調べていくとお父様に関するアメリカの州法では、今回のようなケースでは法律ではなくルールのみが存在しているだけであり、そこでは養子縁組が成立した時のお父様の住所地での法律が適用されるとの規定があり、養子の子どもさんと養子縁組をした時のご夫婦の住所地は香港であった事から、再度、香港の法律の適用の有無と、その適正(合法)な効果(効力)というのを検討する必要に迫られました、、、

と、色々とかなり!?難しく感じられた事でしょうが、詳細を掴むというより、朧気ながらのイメージとして、とてもとても複雑なケースである(あった)という点だけ捉えて頂ければそれで充分です(笑)

 

そこで、これは私自らの調べと判断で間違いを起こしてしまってはいけない!と考え、管轄地の役所に相談に出向く事にしました!

そして、最初に相談をさせて貰った時点では、参考書類なども不足している事から、概要を役所の方にお伝えする事を目的としておりましたが、役所の担当者の方も、これはこれは一筋縄では進められないし、今のままではスムーズに行かないであろうという事を理解して頂き、調べた上でご連絡を頂く事と相成りました。

そして、この最初の相談の時に、私と知り合いの行政書士と、そして役所の担当者の方との三人の中で、ある「思い」を一致させた(一致させる事が出来た)点があります。
それが、

 

《 この子どもさんの(日本での)地位や身分を安定させてあげなければならない!!! 》

 

とのものでした!
そして、実は、この一致した「思い」というのは、ご夫婦が最初の相談の際に一番求めていた「思い」とも合致するものでした!!!