【 刑務所側の立場から 】
8年に渡り刑務官をしている女性の「考え」を眺めます!
女性刑務官:
『 贅沢だと言う批判を聞きますが、ここは刑務所です。 受刑者は勝手に出歩けませんし、いつ、どこへ行くかは刑務官が指示します。 重要なのは私達が彼らを大切に扱い、敬意を持って接している事。 贅沢な部分があるとしたら、それは彼らを人道的に扱っている点でしょう。 』

次は、刑務官歴が18年で、ハルデン刑務所の創設から勤務している男性の「考え」です!
男性刑務官:
『 刑務官の仕事は人を責める事ではありません。 我々が接するのは性犯罪者や麻薬中毒者、殺人犯、ありとあらゆる犯罪者です。 私がここにいるのは、出所後にうまくやっていけるよう彼らを手助けする為に他なりません。 ノルウェーには死刑制度がありませんし、終身刑もありません。 彼らはいずれ社会に戻って行くんです。 』

そして、イギリスでは再犯率が70%近い一方、ノルウェーの再犯率は、ここ5年で25%と世界で最も低い事について、刑務所長が次のように分析します、、、
刑務所長:
『 しかし、常にうまくいっていた訳ではありません。 私が刑務官の仕事に就いた80年代は(再犯率が)60~70%くらいでした。 70年代から80年代、刑務官は単なる看守に過ぎませんでした。 監視と警備だけに携わっていたんです。 しかし、90年代半ば、刑務官全体の職務が大きく変わりました。 受刑者を助け、彼らを更生させる事が求められるようになったんです。 今、我々はソーシャルワーカーのような役割も担っているんです。 』
【 指導者側の立場から 】
先ほどの職業訓練の一環として、ラジオプロデューサーが月に一度訪れ、受刑者が刑務所暮らしの不満を訴えるなど、受刑者自らが発信するトーク番組が制作されています。
そのプロデューサーは、次のように話します、、、
プロデューサー:
『 他の国と同様にノルウェーでも犯罪に対する罰は服役です。 受刑者は自由を奪われ、自分で物事を決める権利も失います。 (ラジオを制作する)スタジオがあるとか、綺麗な部屋とか、それは大した事じゃなく、本質的に彼らを支援する事とは何か、中世なら一生牢屋に閉じ込めておけばいいでしょうが、今は違います。 彼らはいずれ出所し、社会復帰して私達の隣人になるんです。 狭い監房に閉じ込め、15年後に釈放すればそれでいいと思いますか? コミュニケーションが大切です。 それまで怒鳴ったり、殴り合ったり、ほんの些細な事でカッとなっていた彼らが、今では意見を語り合っている。 』

【 アンの総括 】
3日間のハルデン刑務所の見学も終わりを迎え、今回の経験に関し、アンは次のように総括します、、、
アン:
『 賭けをするならどちらにしますか? 出所者が更生出来るのは、この刑務所か?イギリスの刑務所か? 私なら迷う事なく、ここを出所した人物に賭けますね。
受刑者の更生を柱に据える事は理にかなっています。 私はずっと訴え続けてきましたが、誰も耳を貸してくれません。 でも、これが市民の安全を守る方法、税金を無駄なく使う方法なんです。
ここで見たものは示唆に富むものでした。 興味深かったですねぇ。 この刑務所について見習うべき点がある事は確かです。 実社会の工場を模した作業場は素晴らしいですし、イギリスの刑務所もかくあるべしと思いました。
しかし、ここの人道的に受刑者を扱うという方針は非常に費用の掛かるものです。 大いに賛成したい所ですが、私は過去に嫌というほど経験して来ました。 素晴らしいプロジェクトや、他に類の無い画期的な事例の話は昔から山のように聞かされています。 でも数年後、統計データがまとめられると、それらはいずれも残念な結果に終わっているんです。 』

そして、実態としては、ノルウェー政府もハルデン刑務所を推進する迄には至っていません。
その理由には、再犯率の低下が本当に有効なものかも然り、やはり、建設費に莫大な額(税金)が掛かるからです。
このような背景も元にした上の、アンの締め括りが以下のものです、、、
アン:
『 職業訓練のプログラム、刑務官の親身な対応が功を奏している事は明らかです。 しかし、受刑者の更生にこれほど豪華な設備が必要かどうか、このやり方で実際に再犯率を大幅に下げる事が出来るのなら、多少の贅沢は許されていいでしょう。
ハルデン刑務所を後にして、思いを巡らせているの、、、
この3日間、私が目にしてきたもの、果たしてそれは空虚な設備に莫大な金をつぎ込んだユートピアに過ぎないのか、それとも、犯罪者を更生させる為の切り札、彼らの光明となり得るのか??? 』
