第335回:『 冬至という初夢に贈る物語(メタファー) ~パート5~:蜘蛛(クモ)の糸は誰の為に垂らされるのか 』
【 その他参照ワード:芥川龍之介 】
S.Light.M(カウンセリング・ヒプノセラピー・レイキヒーリング・各種セミナー&認定講座)の瀬川です!
2020年の冬至は12月21日(月曜日)ですが、今の時季は2016年から物語(メタファー)を紹介しています(笑)
そして、過去4回では、私がABH(米国催眠療法協会)のトレーナー認定修了試験に活用した物語を紹介しました。
ただ、今年の新型コロナウイルスの問題に加え、
ここ数年来の「分断(分離)」や「嘘&詭弁」
などの傾向を踏まえ、それに擬(なぞら)えた物語を今年は届けます!!!

その物語とは、芥川龍之介の『 蜘蛛(クモ)の糸 』です!!!
なお、今回の出典元は『 頭のいい子を育てるおはなし366 』(主婦の友社)からです。
そして、物語を知っている人も、知らない人も、自由にリラックスして眺めて下さい(笑)
では、物語の始まりです!!!
【 蜘蛛の糸 】
ある日の事でございます。
お釈迦様は、極楽の蓮池(はすいけ)の周りを、散歩していらっしゃいました。
池に咲いている蓮の華は、みんな玉のようにまっ白で美しく、何とも言えない、よい香りがしてきます。
お釈迦様は、蓮の葉の間から、ふと下の様子をご覧になりました。
この蓮池の下は、地獄です。
死んだ人が渡る三途の川や、とげとげしく光る針の山の景色が、広がっているのです。

お釈迦様は、地獄の底に、カンダタという男を見つけられました。
他の悪人と一緒に苦しんでいます。
この男は、人を殺したり、家に火をつけたりと、色々な悪い事をした大泥棒でした。
でも、たった一つ、良い事をしたことがあります。
ある日、カンダタが林の中を歩いていると、小さなクモが一匹、道ばたにいるのが見えました。
カンダタは踏んでしまおうと思いましたが、「 小さくても一つの命。 むやみに殺してしまっては、いくら何でも可哀想だ 」と、思い直して、そのクモを助けてやった事があるのです。
お釈迦様は、せっかく良い事をしたカンダタを、地獄から助けてやろうとお考えになりました。
そばには、クモが糸を張っています。
クモの糸をそっとお手に取り、遙か遠い地獄の底へ、真っ直ぐに下ろされました。

カンダタは、地獄の血の池で、他の悪人と一緒に浮いたり沈んだりしていました。
ふと上を見ると、まっ暗な天上から、銀色のクモの糸が、細く光りながら、するすると自分の上に垂れてくるではありませんか。
「 この糸をどこまでも昇って行けば、極楽まで行けるに違いない 」
カンダタは、手を打って喜びました。
さっそく糸を両手でつかみながら、一生懸命に上へ上へと昇りはじめます。
でも、極楽はあまりに遠くて、簡単には辿り着けません。
とうとうカンダタはくたびれて、途中でひと休みする事にしました。

ふと下を見ると、クモの糸を辿って、たくさんの悪人たちが、アリの行列のように、上へ上へと昇ってくるのが見えました。
カンダタは、驚いたのなんの。
この細い糸では、重さに耐えきれずに切れてしまうでしょう。
また地獄へ真っ逆さまに落ちては、大変です。
カンダタは大きな声で叫びました。
「 こら、悪人ども。 このクモの糸はオレのものだぞ。 下りろ。下りろ 」

その瞬間、今までなんでもなかったクモの糸が、プッツリと音をたてて切れました。
カンダタは、コマのようにくるくる回りながら、地獄の底へ落ちてしまいました。
「 自分だけ、助かろうとするなんて。 なんという、愚かな事でしょう 」
お釈迦様は、悲しそうな顔で、散歩を続けられました。
蓮池の蓮は、何事もなかったかのように、相変わらず、よい香りを漂わせているのでした。

では、物語は終了です!
どうでしたか???
物語を知っている人では、過去の記憶と「違った感じ」はありましたか???
物語を知らなかった人では、何か「新鮮味」などを感じましたか???
どのような感じ方や捉え方でも、大丈夫です!!!(笑)