KAGRA(カグラ)から学ぶ感性の研ぎ澄まし方 ~ノイズを除去し他人の経験から学ぶ~

では、ここから大切になるのは、時空に生じる「歪み」とは、地球上で最も小さい原子である水素原子の1億分の1(1/100,000,000) 程でしかない、という点です。

そして、「歪み」がこのような「微少微細」なものである事から、この重力波を観測する為には、ほんの僅かな「振動」が大きな障害(妨げ)となってしまうという事です。
そこで、ほんの僅かな「振動」を「取り除く」為に、KAGRAには4つの大きな特徴が兼ね備えられています。
それが、

 

○ 地下200mの空間への設置

○ 観測は遠隔操作で行う

○ -253℃の「鏡」を使用

○ 特殊な防振装置の活用

 

になります。
では、その《 なぜなら~ 》を簡単に見ていきます!

 

地下空間:
これは地表からの「振動」を減らす事が目的です。

 

遠隔操作:
地下施設から約5㎞離れた所に遠隔操作を行うコントロールルームを設置していますが、これは、観測している研究者等が、仮に地下施設内を歩いた時に生じる「振動」さえも「取り除く」為です。

 

-253℃の「鏡」:
この「鏡」はレーザーを「反射」する為のものですが、以前の重力波望遠鏡では、石英製の「鏡」を常温で使用していた為に、「鏡」の表面の「熱運動」で「揺らぎ」が発生したので、熱伝導率が良い人工サファイア製の「鏡」を-253℃迄「冷却」して「揺らぎ」を「取り除く」為です。

 

防振装置:
地震などの「揺れ」から守り、「揺れ」が生じた際には「振動」を「打ち消し合う」為の目的で、サファイア「鏡」が高さ14mの所から「振り子」状に吊されています。

 

では、細かな面もここで終了ですが、ここ迄におきまして、何となく、あるいは、ホワ~ン!?とした感じでも全く大丈夫です!
簡潔にまとめると、「歪み」を「捉える」為に、「振動」を「取り除く」事が大切!くらいの理解で充分ですので(笑)
そして、ここからが今回のテーマのクライマックスに入って行きます!

 

では、ここからの一部は、この番組に出演されていた、KAGRAの建設における光学機器の設計と防振装置組み立ての責任者である、国立天文台重力波プロジェクト准教授である麻生洋一 氏と、その他のインタビューを受けていた方々の発言を元にご紹介して参りますが、発言の一部は私の方で整理や解釈の補いをしている点もありますので、番組の内容そのものでは無い点を予めご了承とご理解頂ければ幸いです!

では、そもそもですが、このような「振動」を「取り除く」という「手間」を掛けてまで時空の「歪み」を「捉える」事へ向けている「思い」の面から見てみます。

 

麻生 氏:
『 (現在のKAGRA稼働当初では)中性子星の合体からの重力波が、どの位の距離まで検出できるかを一つの性能指標にしている。
  今日(こんにち)、我々が設定したのは、その性能指標で言うと、約300万光年。 』

 

と。
そして、この目標は既にクリア出来たそうです。
では、この先は何を目標にしているかについてです。

 

麻生 氏:
『 (KAGRAの)当初の設計では、4億5千万光年(先の観測)なので、(今の)約150倍(の性能があるので、それを目標にしている)。 』

 

と。
ちなみに、先の300万光年とは、私達が存在している太陽系の隣にあるアンドロメダ銀河までの距離が約250万光年です(笑)
さらに、

 

麻生 氏:
『 (そこまで性能を上げられると、今の)約1,000万倍ぐらいの宇宙での様々な現象を「捉える」事が可能になる。
  つまり、1千万年に1回しか銀河で起こらないような、非常に希な現象であったとしても、1年に1回「捉えられる」という事です。 』

 

と。
そして、次の発言が今回のTOPICSの肝になります(笑)

 

麻生 氏:
『 やはり、装置が動き始めたら、あとはやるべき事は一つで、「ノイズ」を下げる事
  性能を上げるというのはイコール、「ノイズ」を下げて「感度」を上げていくという事で、「ノイズ」を狩るっていう事で、ノイズハンティングと呼んでいます。 』

 

と。
ここら辺りで、今回のテーマである《 感性の研ぎ澄まし方 》が見えてきた頃合いでしょうか???
ちなみに、《 狩る(ハンティング) 》という「言葉」には、今回は特に意味は持たせておりませんので(笑)

そして、この「ノイズ」を「取り除く」為に、様々な智慧の活用や創意工夫が施されておりますので、その中の一部をご紹介致します!