そこで、山岡は奥さんからの依頼でやって来た事を打ち明け、二人がお店を拡大する予定がある中で、華僑である同郷会に融資を申し込む条件として、同郷会の幹事の人々が、このコックの腕を試験する旨を伝えに来たとのものであり、その試験には、この主人も加わっているというものでした、、、
このように二人と色々話しながら、山岡は二人の様子も観察していましたが、娘が料理の評価を山岡に尋ねた所、
山岡:
『 問題は、王さん(コック)の心だね。
自分の女房をお嬢さまと呼び、女房の父親を旦那さまと呼ぶ、その使用人根性が問題だ。
でもそれは俺の個人的見解で・・・王さんの料理の味は標準を超えているから、幹事の方々はそこまで厳しくみないかもしれない・・・
いずれにせよ心の問題は小手先では解決しないし・・・ 』
と伝えましたが、山岡自身は、他の幹事はともかく、主人には気づかれるかもしれない、、、という可能性を既に感じていました。
そして、試験が始まりましたが、他の幹事からの料理の評判も良く、上々の滑り出しでしたが、山岡の直感の通り!?に、
主人:
『 ふん・・・果たしてそうかな・・・
チャーハンを作って来い。 』
と声を上げました(笑)
そして、出来上がったチャーハンを口にし、
主人:
『 ふん、馬脚をあらわしたなっ、何だ、このチャーハンは!!
(中略)
このチャーハンは必要条件を満たしていない。
チャーハンは、炒め物の技術をみるのに一番適した料理だ。
中華料理の基本は炒め物、チャーハンが満足に出来ぬ者は、中華料理の基本が出来ないということ。
要するに、中華料理のコックとしては失格ということだ! 』
こうして融資を受ける事が出来ない状況となってしまいましたが、山岡がもう一度試験の機会を与えて貰えるよう助け船!?を出しますが、山岡自らが再試験の条件として提案したのが、その再試験でもダメだったら二人を別れさせる!というものでした(笑)
そして、このコックも受けて立つ事になりました、、、
それから、山岡はこの王さん(コック)に自らの料理の手本を見せ、体で覚えさせていきます!
山岡:
『 俺が見るところ、あんたはこの強力な炎を御し切っていない、炎の主人になり切っていないんだ!
(中略)
俺があんたの炒め物に首をかしげたのは、今ひとつシャッキリと仕上がってなかったからだよ。
炒め物は炎との勝負だ、炎を完全に支配し使いこなす、そこでこそ初めて美味しい炒め物が出来るんだ。
それには強力な炎より強い心が必要だよ。
女房をお嬢さんと呼び、女房の母親を奥さまと呼ぶ、そんな使用人根性で強力な炎を御せる訳がないだろう。
あんたの問題はそこにあるのさ!
もうあんたは使用人じゃない、一国一城の主なんだぜ! 』
と。
そして、見事に再試験に合格し、この主人も二人の仲を認めるに至りました(笑)
では、1つ目のエピソードはここで終了ですが、次に進んで参ります!