『 私(エリクソン)は以前、ある本を通じて、ある人から教えて貰った事があります。
その人を「彼」と呼びましょう。
それは、このような事でした、、、、、
私達は意識的に多くの事を学び、そして、学んだ事は忘れて、その技術を使うという事です。
彼には他の人達に比べて、とても有利な点がありました。
彼はポリオという病気に罹り、身体を動かせなくなってしまい、炎症がひどかったため、感覚も麻痺していました。
両目を動かす事と、聞く事は大丈夫でした。
彼は一人とても淋しい気持ちで、両目以外は何も動かす事が出来ずに、ベッドで寝ていました。
彼は農場に住み、7人の姉妹、1人の弟、両親そして看護師以外の人とは隔絶していました。
いったい、どうしたら楽しめるだろう?
彼は周りの人達と環境を観察し始めました。
すぐにお姉さん達が「はい」の意味で「いいえ」と言う事が出来る事を学びました。
また、お姉さん達は、「はい」と言いながらも同時に「いいえ」という意味を込める事も出来るのでした。
お姉さん達は妹にリンゴを差し出して、引っ込める事も出来ました。
彼は非言語的な言葉と身体の言葉を学び始めたのです。
彼には、やっとハイハイをし出したばかりの赤ちゃんの妹がいました。
彼は立つ事と歩く事を学ばなければなりません。
妹がハイハイから立ち上がる事を学んでゆく成長過程を、彼がどんなに真剣に見ていたか想像出来るでしょう、、、、、
でも、あなたは、どうやってあなたが立つ事を学んだかを知りません。
どうやって歩くのかさえ知りません。
あなたは歩行者の乗り物に邪魔されなければ、100メートルをまっすぐに歩く事が出来ると思うかもしれません。
あなたは同じペースでまっすぐに歩く事が出来ないという事さえ分かっていません。
あなたは歩いている時に何をしているのか知りません。
また、どうして立つ事が出来るようになったのかも知りません。
まず、手を上に伸ばして自分の身体を引き上げました。
そして、両手に重みをかけず、たまたま足に体重をかける事を発見しました。
それは実に複雑な事でした。
というのも、膝はじきに崩れてしまうからです。
膝をまっすぐにすればお尻が崩れてしまいます。
そして両足を交差させます。
すると、膝もお尻も崩れてしまい、立つ事が出来ません。
両足は交差され、まもなく何かにつかまる事を学びます。
そして、自分自身を引き上げ、どうやって膝をまっすぐに保つかを学び、それが出来るようになると、今度は注意してお尻と膝を同時にまっすぐに保ちながら、両足を広げる事を学んだのが分かります。
さあ、ついに両手に支えられながら、足を広げて立つ事が出来ました!
さて、レッスンは第3段階です。
体重を片手と両足で支え、左の腕はまったく支えていません。
正直言って難しい仕事です!
お尻をまっすぐにして、膝をまっすぐにして、足を開いて、右腕を強く押し下げながら、まっすぐに立つ事を学ぶという事は。
次に身体のバランスをどうやって変えるのかを発見するでしょう。
頭を回したり身体を回したりしてバランスを変えます。
手、頭、肩など、身体を動かす時には、身体全体のバランスの変化を協調させる事を学ばなければなりません。
それからもう一方の手でもう一度全てを学ばなければなりません。
そして、次は、両手を上げてあらゆる方向へ動かす事と、広げた両足という2つの土台に頼る事を学ぶというとても難しい仕事です。
その間も、お尻と膝をまっすぐに保ちつつ、お尻や膝、左手や右手、頭や身体に気を配り続けます。
ついに、充分練習したら、バランスをとって足で立つ事に挑戦です。
これはもの凄い大仕事です!
お尻や膝をまっすぐに保ちながら、手の動き、頭の動き、身体の動きを感じつつ、どうやって身体を保つのでしょうか?
それから一歩踏み出して、身体の重心を移すのです。
膝は曲がり、尻餅をつきます。
再び立ち上がり、またやってみます。
ついにどうやって片足を前へ動かし、一歩進むかを学びます。
上手くいきました!
もう一歩進みます。
とても上手くいっています!
次の3度目の一歩は、同じ足を前に出したので、グラグラッとなりました。
右、左、右、左、右、左と、交互に出来るようになるまでにはずいぶん時間が掛かります。
今や、手を振り、頭を回し、右や左を見て歩いて行く事が出来るのです!
膝やお尻をまっすぐにする事に少しも注意を払わずに、、、、、 』
これで、エリクソンとの時空を超えたセッションは終了です。
如何でしたでしょうか・・・?