自分を偽る事からの脱却法 ~贋作師と海原雄山から学ぶ本物と価値~

【 賛否両論とベルトラッキの真意 】

贋作を作られたカンペンドンクの孫は、次のように話します、、、

 

カンペンドンクの孫:
『 ハインリヒ・カンペンドンクの作品を愛し親しみ、その保存と公開に尽力する人々にとって、贋作は尊敬すべき画家への攻撃です。 犯罪的利益を得ることを目的に製作された贋作は、画家の思想や人生を激しく冒涜するものです。 』

 

更に、カンペンドンクの作品を数多く扱って来た、美術館の元館長は、次のように話します、、、

 

美術館の元館長:
『 ベルトラッキ氏がしたことには、本当に腹が立ちました。 (少女と白鳥について)カンペンドンクではないと、すぐに分かりました。 いい絵だとは全く思いません。 カンペンドンクたらしめている本質的な部分には到達出来ていません。 (本物の意味を問われ)芸術とは作者との対話です。 誰かに何かを伝える。 それが芸術です。 私にとっては、それが全てであり、それこそが価値あるものなのです。 』

 

 

そして、ベルトラッキの贋作と言われる絵画の所有者が、AI鑑定を受けた所、72%の確率で贋作と判定されました。

しかし、「当の本人」には、本物と信じるに足る僅かながらの根拠がある点を加味し、次のように話します、、、

 

所有者:
『 つまり、AIが○○という作家を、どこまで分かっているかなんです。 真贋を決めるというものに関しては、人間の感覚も私は正しいと思っています。 これがベルトラッキのサインであろうが、○○のサインであろうが、素晴らしい絵であることは変わりない。 もし、ベルトラッキが描いたとしても、うちが持っている価値はあるかなと思っています。 』

 

一方、ベルトラッキは贋作についての真意を、次のように話します、、、

 

ベルトラッキ:
『 私は贋作を描いた。 300枚。 全てが芸術だ。 否定することは出来ない。 「 あなたの絵が美術館に飾られているのに、あなたの名前でないことに不満はないのか 」と聞かれた。 全く気にならなかった。 なぜなら、誰もがそれを受け入れ、素晴らしい絵だと認めてくれる瞬間があったからです。 (罪悪感が無いのは)芸術における本物とは、画家の名前によって作られるものではありません。 絵を買うのは、教会に通うのに似ている。 信じるかどうかだ。 』

 

 

【 贋作であるとしても 】

贋作を掴まされた高知県立美術館では、催しを通して贋作を紹介する事を決めました、、、

 

学芸課長:
『 2つ意義があると思います。 1つは贋作であっても、これくらいレベルの高い作品、本当に純粋な意味での美しい作品を紹介すると。 もう1点は勿論、こんなことはあってはならない、これは犯罪だということを、広く知らしめると。 そういった2つの方向性で、展示していけるんじゃないかと思います。 』

 

現在、警察当局が調査しているベルトラッキの贋作最新リストは89点あり、その内の32点は現在も行方知れずのままです。

しかも、ベルトラッキは国籍も作風もバラバラで、男女を問わず45名の画家になりすましていました。

そして、中には数億円もする贋作が紛れ込んでいますが、

 

所有者は未だに本物と「思い込み」・・・

「どこか」で飾られている・・・

 

というのが事実です。

 

最後に、自分の贋作最新リストを見たベルトラッキは話します、、、

 

ベルトラッキ:
『 抜け落ちているよ。 200枚も。 』

 

 

では、視点を少し変えます!

 

【 「批判」と「非難」の両方の声 】

1972年、奈良県の明日香村で、現在は国宝となっている1、300年前の《 高松塚古墳壁画 》が発見されました。

その中でも、特に注目を集めたのが、4人の女性が極彩色で描かれた《 飛鳥美人 》でした。

しかし、発見後まもなく、「劣化」を防ぐ為に国は完全非公開にしました。

 

そこで、発見から1年半後、多くの日本画家が集められ、壁画の美しさを記録する為に原寸大の「模写」を製作しました。

そして、本物は非公開である事から、模写が国民に公開され、「人気」を集めました。

 

しかし、2006年、文化庁が管理不行き届きで謝罪をしました。

なぜなら、その数年前の調査で、壁画にカビが大量に発生した事が分かり、しかもカビの除去作業中に壁画を傷付けた事を「隠蔽」していたからです。

当然ながら、文化庁には「批判」の声が寄せられましたが、それと同時に、当時は発見者に対して別の「非難」の声が寄せられました。

それが、

 

壁画が「発見」されなければ・・・

壁画は「損傷する」事も無かった・・・

 

という声でした、、、

 

 

では、2つのケースを眺めて来ましたが、

 

1つは「贋作」で・・・

もう1つは「模写」・・・

 

です。

そして、善悪や是非はさておき、TOPICSで幾度も伝えている、

 

最も問われるのは真の動機

 

という視点を当てはめ、考えて下さい(笑)