【 過信を生む負の成功体験 】
国防軍の「司令部」がある町に辿り着き、ヘロルトは幹部達へ挨拶に出向きます。
そして、「上から2番目の階級」の中佐と面会しました。
すると、ヘロルトは部隊には強力な武器があると「大ボラ」を吹き、町を守る力になると中佐に約束します。
中佐はヘロルトの話を信じ込んでしまい、食料やガソリンに加え、兵も追加してくれました。
充分な補給を得て、80人の兵を抱える部隊となったものの、数日後にヘロルト部隊は約束を破り、町を去ります。
そして、道中で占領された町を奪還しようと試みるものの、ヘロルトは指揮官としての実戦「経験」も無く、完全に敗北し、兵は僅か12人しか生き残れませんでした。
ところで、先のダイエットの例えは「正の成功体験」でした(笑)
そして、TOPICSでは、
潜在意識はイメージ(想像)と現実を区別出来ない
と伝えています。
そして、同じ事は「言葉」でも当てはまります。
例えば、目の前に赤い色の食べ物があるとします。
あなたは、これを「リンゴ」と教わりました。
赤い色の食べ物は、他にも「トマト」などもあります(笑)
しかし、「リンゴ」という言葉で思い浮かぶイメージは、やはり「リンゴ」でしょう。
この視点を、ヘロルトに当てはめると、
大尉であるように振る舞い・・・
周りも大尉として接した結果・・・
自分には「(実戦)経験」があると錯覚した・・・
のかもしれません。
ちなみに、望む自分を「既に実現した」かのように振る舞うのは、「正の暗示」効果があります!
【 人生最大の嘘が招いた悲劇 】
更に、北に逃げた町でも軍司令部がありました。
この軍司令部で、ヘロルトはアッシェンドルフ収容所の存在を知る事になります。
脱走兵や政治犯など3、000人が収容されていましたが、収容人数は1、000人が限界で、囚人達を持て余していました。
そこで、ヘロルトは収容所に出向き、警備隊長と話をします。
すると、警備隊長は特に問題のある囚人達を射殺して、収容人数を減らしたいが、所長が認めないと愚痴を吐きます。
即決裁判を経なければ、囚人を射殺してはならない規定があったものの、ヘロルトは自分一人で即決裁判を開くと宣言します。
そして、その際にヘロルトは、
私は全権委任を受けている!!!
ヒトラー総統ご自身から、直接全権を委任されたのだ!!!
と、「人生最大の嘘」を付きました!
そして、収容棟に向かうと尋問に取り掛かり、手始めに5人を射殺しました。
銃声を聞いた所長がやって来ると、ヘロルトは同じく全権を委任を受けていると「言い放ち」ました。
所長を含め、現場は混乱するものの、誰も射殺の件と関わり合いたくない為に、「たらい回し」にしました。
そして、30~40人を射殺予定とヘロルトは「更に」嘘を付き、ゲシュタポ(ナチス・ドイツ秘密警察)の承認を得る事に成功しました。
僅か2時間後には、ヘロルトは「独裁者」のように振る舞い始め、この1日だけで約100人を射殺しました。
こうして1週間続いた虐殺は、150人を超えると言われます。
ところで、この時のヘロルトの「心境」の一つに
強い承認欲求が芽生えていた
との研究もあります。
承認欲求は「力量」があるか否かはともかく、「他者」から認められたい「執着」です。
この時のヘロルトに「直接」当てはまる訳ではありませんが、
嘘の虜(とりこ)となり・・・
我を見失って、ミイラ取りがミイラになった・・・
と言えるでしょう。
その「理由」は、この先のヘロルトの人生の「閉じ方」にあります。
言わば、「秘密は墓場まで持って行く」という言葉が、事実であり真実なのか???という視点です!