【 ゲンジボタルとは 】
ホタルは世界で約2、200種が生息し、日本だけでも50種以上が生息しています。
南は九州・鹿児島から、北は青森まで生息が確認されています。
そして、無事に成虫してホタルになっても、その後に飛び回れるのは僅か10日ほどです。
そのように多種多様なホタルの中で、ゲンジボタルは日本固有種です。
ただ、最近ではゲンジボタルが2種に「分化」しつつあると考えられています。
染色体の数が、東日本生息域と西日本生息域のゲンジボタルで「違い」が見られるようになり、交接器(交尾の為の器官)の形状も変化して来ている報告もあり、もしかしたら、同じゲンジボタルであるにも関わらず、2種間の「交配」も既に出来なくなっているのではと考えられています。
【 フォッサマグナが分岐点!? 】
ゲンジボタルも光を放ちます。
その光の「点滅間隔」は、東日本では「2秒」間隔、西日本では「4秒」間隔と言われて来ました。
そこで、2020年に遺伝子解析をした所、東日本と西日本で大きく「2つのグループ」に分かれた事が判明します。
そして、分かれた時期が、日本列島が出来つつある時期と重なっていた事も判明します。
約600万年前の日本列島は、幾つもの島々に分かれていました。
その中の一つの島に生息していたゲンジボタルが、地殻変動で島が分裂し2つのグループに分かれ、それぞれ別の島で生息し続けて来ました。
そして、その後に「再び」島同士が繋がり始め、日本列島が形成されました。
この時に繋がった境目が「フォッサマグナ(日本列島の真ん中にある地質学的な溝)」と呼ばれ、このフォッサマグナを境目として、2秒間隔と4秒間隔に分かれたと考えられていました。
しかし、最近の調査では、フォッサマグナのある関東地域では、2秒間隔と4秒間隔が同じ数ほど生息(混在)している事が判明します。
更に、「3秒」間隔のホタルも続々と発見され、現在の結果としては、2秒間隔も3秒間隔も4秒間隔も、全国的に生息している事が判明しました。
環境などの要因も含め、色々な理由が考えられていますが、例えば、「現在」では全国的にゲンジボタルの幼虫を川に放流するイベントが行われています。
つまり、東日本で育った幼虫を、西日本で放流するなどが行われているという事です。
また、「過去」の江戸時代の参勤交代では、自分の藩(領地)に生息するホタルを将軍に見せる「献上ボタル」という風習もあった事で、人の手によってホタルの生息域が拡大し、それが現在に「引き継がれている」とも考えられています。
ちなみに、長崎の五島列島では、2020年に「1秒」間隔のゲンジボタルが発見されました。
同じく遺伝子解析をした所、五島列島だけに生息する新しいで種である事が判明しました。
そして、五島列島も約100万年前に九州から分離し、島になりました。