【 宗教という心の壁 】
インドとパキスタンの国境に2千キロの壁があります。
そして、国境に接するパキスタンのワガという町では、1959年以来、毎日夕方に国境を閉鎖する際に、「フラッグセレモニー」が行われています。
このフラッグセレモニーとは、インドとパキスタンそれぞれの兵士が国境で力を誇示し、双方が相手を威嚇する踊りのような式典です。
そして、ヒンズー教徒が多いのがインドで、パキスタンはイスラム教の国です。
しかし、インドとパキスタンは、元々は「一つの国」でした。
この国境線を引いたのが、インドを植民地支配していたイギリスです。
「宗教対立」が起こっていたので、1947年8月にイスラム教徒の多いインドの西側と東側を、パキスタンとして「分離独立」しました。
しかし、実際の国境沿いには、両宗教の人々が「共に混在して」生活していました。
国境線が引かれた事で、一夜にして、インドからはイスラム教徒が、パキスタンからはヒンズー教徒が、数百万もの「難民」となって移動せざるを得なくなりました。
難民が移動する道中では、略奪や強姦や虐殺が頻繁に起こり、犠牲者は100万人以上と言われます。
しかし、イギリスは惨状に「目を背け」、自らの手柄であるかの如く、意気揚々とインドから手を引きました。
虐殺に参加した男性:
『 ある日、わしらの村じゅうの者が、殺しのバカ騒ぎに浮かれて、近くのムスリムの村へ行った。 とにかくわしらは頭がおかしくなっていたのさ。 わしは自分が殺した人々の顔を、今も忘れられないよ。 』
パキスタンに逃げた男性:
『 以前はあんなに仲が良かったのに、今はもう線が引かれちまった、国境が決められてしまった。 おれたちはこっちで、やつらはあっちと。 』
両国は3度に渡る大戦を繰り広げ、対立は現在も続いています。
インドに留学経験があるパキスタンの男性(若者):
『 いま私が目撃しているこの式典(フラッグセレモニー)は、インド人とパキスタン人の相違点よりも、むしろ類似点を示している。 私達を互いに区別するものは、パスポートを除いて何もない。 私達をこれほどまでに分断するものは何なのか? 私達はなぜ、互いを憎み合っているのだろうか? 』
では、番組の紹介は、ここで終了です!
「物理的」な壁も出て来ましたが、宗教のように「心」の壁も存在しています。
そして、壁を作り上げているのが「権力」です。
つまり、
全ての壁には「人間」が関与している!!!
という事です!
では、視点をガラッと変えて、番組『 サイエンスZERO 』(Eテレ)から、「ゲンジボタル大調査! 点滅間隔の謎に迫れ!」の回を少し眺めます!