ディープフェイクとイカロスの翼 ~程々にしないと痛いしっぺ返しを喰らう~

では、ここからは『 頭のいい子を育てるおはなし366 』(生活の友社)から、ギリシャ神話である「イカロスの翼」という物語を眺めてみて下さい!

昔、ギリシャのクレタ島にミノス王という王様がいました。
その頃のクレタ島には、頭が牛で体が人間のミノタウロスという怪物がいました。
ミノタウロスは人間を襲って食べてしまうので、島の人達はとても怖がっていました。
そこでミノス王は、ミノタウロスを閉じ込める迷路をダイダロスという賢い人に創って貰い、怪物をその中に閉じ込めたのです。

 

ある時テセウスという若者が、ミノタウロスをやっつけようと、クレタ島にやって来ました。
ミノス王の娘アリアドネはこの勇敢な若者に恋してしまいました。
アリアドネは、ダイダロスに相談します。

「もし、テセウスがミノタウロスを退治出来たとしても、あの迷路の中で迷ってしまったら、どうしましょう。 何かいい方法はないでしょうか?」

「迷路に入る時に、大きな糸の玉を持って行き、入り口に糸を結び付けて、少しずつ糸をほどきながら進めば良いでしょう。 帰りは、その糸を辿って来れば、無事に入り口に戻って来られるはずです。」

 

ダイダロスの授けた作戦は大成功。
ミノタウロスをやっつけたテセウスは、無事に迷路から戻って来る事が出来ました。
そして、アリアドネはテセウスと一緒に、島から出て行ったのです。
これを知って怒ったのは、アリアドネのお父さんのミノス王です。

「大切な娘がいなくなってしまった。 お前は何ていう事をしてくれたんだ!」

 

ミノス王はダイダロスとその息子イカロスを迷路に閉じ込めました。
でも、頭の良いダイダロスは、また良い方法を思いつきます。
鳥の羽を集めて、ロウで固め、大きな翼を創ったのです。
その翼を使って空に飛び上がれば、迷路から抜け出す事が出来ます。
ダイダロスは息子のイカロスの肩に翼を付けながら、言いました。

「良いかい、イカロス。 空を飛ぶ時は、空の真ん中辺りを飛ばなければ駄目だよ。 高すぎると太陽の熱で翼が溶けてしまうからね。 ちゃんと私に付いておいで」

 

そして、翼を付けた二人は空に飛び上がりました。
下には沢山の島々が浮かぶ海が広がっています。
遠くには町や森も見えます。
初めて空を飛んだイカロスは楽しくて堪(たま)りません。
つい夢中になって、どんどんどんどん高く上がって行きました。
すると、あまりに太陽に近づきすぎたのでしょう。
羽をくっつけていたロウが溶けて、イカロスの翼はバラバラに壊れてしまったのです。

「助けて、お父さん!」

 

翼が取れたイカロスの体は、真っ逆さまに海に落ちて行きます。

「イカロス、何処にいるんだ? イカロス、声を出しておくれ!」

 

ダイダロスは必死でイカロスの姿を探しました。
でも、イカロスは海の底に沈んでしまったあと。
海の上には数枚の鳥の羽が漂っているだけでした。

 

では、この物語もここで終了です!

その上で、冒頭の『 私自身の《 言葉は少なめ 》 』を意識しつつ今回の締め括りを試みてみます!