【 蘭奢待とは 】
蘭奢待とは、
日本最高かつ天下無双の名香と呼ばれる・・・
究極の香木!!!
です!

蘭奢待は、約1300年前に建立された奈良の正倉院に受け継がれ、厳重に保管されています。
そして、蘭奢待を「手にする」事を許可されたのは、足利義政(室町幕府8代将軍)、織田信長、明治天皇の、
3人の権力者のみ
です。
【 判明と未知が同居する蘭奢待 】
2024年10月、史上初となる蘭奢待の大規模な科学調査が行われました。
全長は約1.5メートル、本来の皮は剥がれ、中にあった樹脂が木を覆い尽くし、表面は黒っぽくなっています。
そして、他の検証も交えた所、
アクイラリアに属する木
と考えられています。
そして、蘭奢待は8世紀の末から9世紀頃に香木になったと測定されました。
ただ、蘭奢待の表面と樹脂の間に、「自然」の物か「人工」の物か、未だに分からない薄い層がある事実も判明しました。

【 沈香として珍重される 】
アクイラリアから出た樹脂は、水に沈むほど重いので、
古来から「沈香(じんこう)」と呼ばれ世界中で珍重
されて来ました。
アクイラリアは熱帯性の気候の元で育ち、主に中国の南方と東南アジアに生息します。
そして、奈良や平安時代のアジアは、海のシルクロードと呼ばれる程に、貿易が拡大し盛んな時代でした。
そして、中国やアラビアの古い歴史書には、沈香の名産地としてチャンパ(サンフ)という地名が幾度も登場します。
このチャンパとは、現在のベトナムに位置する所にあった、王国の名前です。

【 経済に飲み込まれる沈香 】
現在のベトナムにあるニャチャンは、古くから栄えた港町です。
そして、沈香の名産地として知られ、世界中と取引しています。
しかし、現在では山深く分け入って探しても、
沈香は、ほとんど存在しない
のが実態です。
その理由が、
人間がアクイラリアを乱獲し続けて来た事で・・・
絶滅危惧種に指定されるほど激減している・・・
からです。
そして、2000年代に入ると、西洋の香水業界が沈香に目を付け、更に高値が付き、珍重されるようになりました。
そして、ベトナムでは、
他の種類の木に化学物質を注入するなどして・・・
人為的かつ短期的に沈香を作る事が試みられている・・・
というのが実状です。

採取が可能だった「過去」でも、最高の沈香は数千本に一本しか存在しませんでした。
そして、蘭奢待はその中の一本として、数百年の「自然の時間」を掛けて創造されたと考えられています、、、
【 香道に学ぶ 】
日本には、約500年前から受け継がれている「香道」があります。
これは、香木を焚いて、香りを嗜(たしな)む文化(風流)です。
そして、この時、
五感の「全部」を使って感じ取る
という事が行われます。
そして、香道では、
香りを嗅ぐ事を「聞く」と表現
します。
更に、嗅いだ香りを表現する際に、
味覚に擬(なぞら)え・・・
「五味」(甘い・辛い・苦い・酸っぱい・鹹(しおから)い)と表現
します。

つまり、
香りという「嗅覚」で感じ取ったものを・・・
聴覚と味覚という「他の五感」で表現
するという事です。
そして、香道では、体感覚(触覚)を「所作」として活用するとは言えるものの、
視覚は、ほとんど活用しない
という事です。
しかし、香りを嗅ぐと、その人なりの、
必ず何かの「心象」が湧き上がる
という事です。

そして、蘭奢待は五味の「全てを包含」する、
五味兼備
の香りと言われます、、、
では、番組は終了し、シンプルに締め括ります!