ジェンダーサイエンスから性差を考える ~中性化が鍵を握る!?~

【 性ホルモンの違いと共通点 】

テストステロンシャワーは、思春期以降も高い状態が続き、「体の性差」を維持し続けます。

 

男性ホルモンが特に強く作用する臓器が、「脊髄・骨格筋・心臓・肝臓・腎臓・皮膚・脂肪組織」です。

なぜなら、これらの臓器は男性ホルモンが結び付く「受容体」が多いからです。

 

女性ホルモンが特に強く作用する臓器が、「扁桃腺・肺・リンパ節・血管・乳腺・免疫細胞(T細胞・B細胞)」です。

そして、男性でも男性ホルモンの量には「個人差」があり、女性も男性ホルモンが分泌されています。

 

 

そして、「逆もまた真なり」で、男性にも女性ホルモンが分泌されているので、人間の体には「男女両方のホルモン」が働いているのが事実です!

故に、最近の医学では、

 

男性ホルモンや女性ホルモンとの呼び方(区別)自体が、ナンセンス

 

になっています(笑)

 

そして、これ迄の医療(薬)は、動物実験の段階から「オス」を使い、人間の臨床試験の対象も男性が「メイン」でした。

しかし、今では男女の体や臓器の性差を意識した、「性差医学」が主流になって来ています!

これにより、男女で薬の用量や、病気の診断基準を変える取り組みが進んでいます。

 

 

【 脳に性差はあるのか!? 】

現在のアメリカの出生証明書の性別欄には、「男」「女」の他に「X」が加わっています。

「X」とは、男女どちらでもなく、成長後に「自分が意識した性別」を選ぶ事です。

 

ところで、1歳前後の男女の赤ちゃんの実験が行われました。

実験内容は、色々なオモチャを並べて、どれで遊ぶかを観察するものです。

すると、女の子はぬいぐるみなどの「女の子向け」とされているオモチャを選び、男の子は「その逆(男の子向け)」を選ぶのが多くなりました。

科学的には、

 

生まれたばかりの赤ちゃんには、ハッキリとした性差がある

 

との考えが、現在の所の主流です。

 

 

この理由として考えられているのが、これも同じく胎児期のテストステロンシャワーが関係しています。

なぜなら、テストステロンシャワーは「脳の内部」にも入り込むからです。

 

すると、ここで「男女で脳は違う???」という命題が生まれます、、、

 

【 モザイク脳を生み出す要因 】

イスラエルにあるテルアビブ大学で、18歳から80歳まで1、400人の脳をMRIで調べました。

すると、男性グループと女性グループで、「大きさが違う場所(器官)」が見つかりました。

 

特に、違いが大きかったのが10の器官でした。

例えば、「海馬(記憶)」「尾状核(愛着)」「上前頭回(自己認識)」「小脳虫部(運動)」などです。

ただ、これはあくまで、

 

「平均値を算出」した結果

 

です。

そこで、大きさの違いが見られた器官の、「個々人」の脳を解析しました!

すると、

 

それなりに「男性寄り」の脳と、「女性寄り」の脳に分かれたのは・・・

僅か10%に過ぎなかった・・・

 

という結果が出ました。

 

 

故に、

 

残り90%は、男性と女性と中間の「3つ全て」が存在する・・・

「モザイク脳」だった!!!

 

という実態が判明しました!

勿論、男性寄りの脳でも、女性寄りの脳でも、そこには個人としての「濃淡(差)」があります。

つまり、脳の解析結果としては、

 

単純に、男女で脳の性差があるとは言えない!!!

 

という結論になりました!

 

 

そして、この理由として一番大きいのが、

 

その人(個々人)の環境や経験が関係している!!!

 

というものです!