【 防げたにも関わらず「不作為」が招く悲劇 】
目的地までは14時間以上の長い航海なので、船長、1等・2等・3等航海士が交代で操舵室の指揮を執る事になりました。
交代となる午前2時前、代理船長は『 積載量が多いので少し船が傾いている感じはするが、無理しなければ大丈夫 』と引き継ぎし、休憩に入りました。
しかし、この時には既に船内の積み荷が移動していた為に、実際に船は傾き始めていました、、、
船は航海を続け、霧は消えつつあった午前8時、目的地まで残り3時間ほどのメンゴル水道に差し掛かかりました。
この海域は潮の流れが速く、過去にも海難事故が多発している「世界的危険海域」として知られていました。
しかも、周囲には小さな島も多く、船が通れるルートも狭い海域です。
この時、操舵室で指揮を執っていたのは、一番経験の少ない3等航海士でした。
仮に定時に出航していたらベテラン航海士が担当する海域です、、、

しかし、操舵室の指揮は時間によるシフト制だったので、1等航海士は「出航直後」に代理船長に担当海域が変わってしまう「懸念」を既に伝えていました。
しかし、代理船長は自分もセウォル号の乗船経験が少ないので、時間通りのシフト制で担当が変わっても構わないと判断しました。
こうして、最も難所の指揮を3等航海士が執る事になりますが、この3等航海士は4ヶ月しか経験がありませんでした。
普通は船長が横に付いてフォローする所、代理船長は部屋で休憩したまま動こうとしませんでした、、、
ところで、「経験を積む」のも大切で必要な事です。
しかし、中には経験が無いにも関わらず「自信だけはたっぷり」という人もいます(笑)
そして、
私達は誰もが自分一人だけで全てを経験する事は出来ない
と伝えています。
そして、そうであるが故に、
他人の経験から学ばせて貰い・・・
その際には自分の想像力も活用する!
という事が「相乗効果」を生み出します!

【 子どもから学ぶ姿勢を忘れてはいけない 】
セウォル号の客室は3階から5階部分にあり、生徒の多くは4階部分に乗っていました。
すると、この海域に入った頃から、客室でも物が転がるなどの「異変」が起き始めました。
そして、後の事故調査では、この頃のセウォル号は左右に蛇行しながら進んでいた事が判明します、、、
そのような船の状態の中、3等航海士が舵を切る指示をした途端、船は大きく傾き、転覆(45度以上傾いた状態)してしまいます。
この舵を切った事で、元々不安定になっていた貨物や車両が一気に片側に寄ってしまった事が一番の原因でした。
これも後に1階の車両置き場にある車載カメラを調査した所、午前8時49分に車両が次々と動き出し、船内に海水が流れ込む映像が映っていました。
転覆した船内では、全ての現場の乗組員も身動きが取れなくなり、浸水の確認も出来る状態ではありませんでした。
操縦不能に陥った操舵室に戻った代理船長は、船が傾かないように乗客は動かず、その場で待機する指示を出し、それが乗客にアナウンスされました。
しかも、救命胴衣着用の指示も出しませんでした。
「この時に」救命胴衣を着用し、船から脱出していれば、多くの命が助かったかもしれない、、、と考えられています、、、

そして、転覆から3分後の午前8時52分、木浦(モッポ)海洋警察(日本の海上保安庁)に救助連絡を入れたのは生徒でした。
海洋警察は乗組員からの通報と思い、場所を特定する為の緯度や経度を聞きますが、当然ながら生徒には船の位置も分かるはずもありません。
しかも、すぐに学校へ連絡したのも生徒でした。
ところで、
大人は子どもから学ぶ姿勢を忘れてはいけない
と伝えています。
勿論、年端もいかない子どもでは「後先顧みず」に行動してしまう事はよくあります(笑)
そして、仮に大人が子どもから学ぶのが「怖い」などの感情を持っているケースでは、「触らぬ神に祟りなし」という、とんでもな間違いをしでかしている証になります、、、
