2023年のキーワード:動と静と音 ~動的平衡を含め~《 行動という実践 》

次に活用する素材は『 最後の講義 』(NHK)という番組における、2018年8月に放送された「 生物学者 福岡伸一 」の回から、そのごく一部をご紹介して参ります!

福岡 氏は《 生命とは何か? 》を問い続けている人でありますが、2011年には理系の研究を止め、文系の視点からも生命の研究をしているそうです。
福岡 氏は小さい頃から昆虫が好きで昆虫学者を目指しますが、当時(1980年代)の昆虫学の世界は《 駆除を目的 》としての研究ばかりであったそうです。
そこで昆虫学ではなく分子生物学に出逢い、1990年代の初めに新しい遺伝子「GP2」を発見するに至ります。

 

と、ここで余談と言えば余談ですが福岡 氏の著作に2011年12月に発売された『 動的平衡2 』というのがあります。
当時の私は福岡 氏を存じ上げていませんでしたが、何故か!?この書籍は購入していました。
ただ、内容が(当時の)自分の頭ではさっぱりちんぷんかんぷんで難しく、早々に読むのを挫折した事は覚えています(笑)

そして、私の母は2010年の年末にガンが発覚し、2012年の3月に他界しておりますが、私が帰省したある時、この『 動的平衡2 』が書棚にあるのを見つけ少々驚いた記憶があります。
子どもから見る親の姿というのも、ごく一面でしかないのは勿論ですが、母がこの手の本を読む印象は全く持っていませんでした。
2011年の12月に発売という事からも、私は東京で購入し、もしかしたら母も同じ頃に青森(五所川原)で購入したのかもしれません。

また、母が読み進めていたかどうかも定かではありませんが、私が東京から五所川原のアパートに引っ越し、その後にそのアパートから実家に引っ越しておりますので、今住んでいる実家ではこの本が2冊存在しているはずなのですが、無意識で処分してしまった事ではあるかと思いますが、今現在2冊とも手元にはありません(笑)

 

では、話を戻しますが、このGP2という遺伝子の役割を探る為に福岡 氏が活用した視点というのが、例えば携帯電話からある一つの部品を取り除くと機能しなくなります。
つまり、その携帯電話は壊れてしまいますが、その異常を調べる事によって、逆にその部品の機能(どのように働いていたか)を明らかにするというものです。

そして、マウスでの実験でGP2を取り除いたそうですが、長期的観察を通してもマウスにはどこにも異常が発見されなかったそうです。
本来の目論見であれば、マウスに必ず異常が見つかるであろうと進めていたそうですが、異常が見られない事から研究も行き詰まってしまった中、福岡 氏は昔に出逢った、ある言葉(論文)を想い出しました。
それが、

 

生命は機械ではない、生命は流れだ

 

とのものでした。
そして、この言葉(論文)で福岡 氏は自らで幼少期の頃の昆虫を愛していた自分(当時抱いていた昆虫などへの思い)を裏切っている事に気づいたそうです。

そして、その後は食べ物と人間の関係から生命を探る視点を活用していきますが、その研究から食べた物の一部は古くなった体(あらゆる箇所)の一部(細胞等)と交換され(入れ替わって)自らの身体の新たな一部となり、その古く不要となった一部が便(ウンチ)として排出されている事が分かりました。
そして、このような現象から、

 

(物質レベルでは)生命は絶えず作り替えられ、交換されている

 

との結果が得られ、福岡 氏の言葉として、

 

1年前の自分と今日の自分は別人である

 

と述べておられます。
そして、福岡 氏の最大のコンセプトというのが先程の著作名にあった、