当たり前とは本当か!? ~地球から酸素が無くなる日&司馬遼太郎 氏の洞察より~

ところで、光合成と言えば森林などがイメージされる事が多いですが、植物が地球の陸地を覆うようになったのは僅か数億年前の出来事です(笑)
という事は、植物が最初に地球に酸素をもたらした訳ではない事が判明していきます!

それで現在では冒頭のシアノバクテリアが酸素をもたらしたと考えられています!
そして、代表的な120種類のバクテリアの遺伝子に刻まれている情報から共通祖先を割り出し、光合成をするバクテリアと光合成をしないバクテリアの分岐点が約34億年前から約29億年前に存在する事が判明しました。

この事から、約5億年の間にシアノバクテリアが光合成をするという能力を獲得した事が推察出来るようになりました!

 

そして、先程の酸素濃度の変化(推移)の時期と照らし合わせると、光合成の能力の獲得経過は地球に酸素がもたらされた年代より約5億年以上前である事が分かって来ました。
つまり、この時期のシアノバクテリアは光合成をしながらも、大気中に酸素を供給する事は無かった状態が続いていた事になります。

そして、太古の地球の環境に近いと思われる湖の底で光合成をしないバクテリアと光合成をするシアノバクテリアが同時に存在(共存)している事が確認出来ました(バクテリアマットと言われているもの)。

 

そこでシアノバクテリアの培養などから研究を進めた所、シアノバクテリアは太陽の光を浴びてもすぐには酸素を放出しない事が分かり、朝日を浴びても酸素を放出するのは正午過ぎになる事が判明していきます。

ここでその理由として、地球の自転の周期が関係しているのでは!?と考えられ始めます。

約45億年前に火星ほどの大きさの天体が地球に衝突したと考えられていますが、この時の破片でが形成されたとも考えられており、この頃の地球の自転速度は今よりも速かった事が推察出来ています。

つまり、今より1日の時間(周期)が短かったという事です!

 

それで別の研究においては、月が出来た直後から地球の自転は徐々に遅くなり、約20数億年ほど前には1日が21時間であった事が判明し、そこから10億年以上に渡ってこの状態が続き、約7億年ほど前から1日の時間(周期)が再び延び始め、現在の1日24時間に至っている事も分かりました。

そして、この1日の時間の長さと、先程の酸素濃度の変化(推移)のグラフとがほとんど同じように「重なり合う」事が判明しました!

 

つまり、太古の地球では1日の時間が短かった(太陽の光が当たる時間が短かった)事により、シアノバクテリアは光合成をしていたにも関わらず、酸素放出量が現在とは違っていた(少なかった)という点に導かれました。

勿論この他にも様々な要因が絡み合っていると考えられていますが、徐々に酸素濃度が低下し続け、今から約10億年後には急激に酸素濃度が低下していくという検証結果も発表されています。
この低下した濃度では酸素(呼吸)を必要とする生命は到底生存不可能の状態になります。

そして、酸素濃度が現在のレベルになったのが約5億年前であり、約40~50億年後には太陽も大きく変化し、その熱により地球には生命が存在し得なくなるとも言われています。

 

では、この番組からの紹介はここで終了ですが、少々難しかったでしょうか???
そのような難しい事はさておき、ここ迄では地球誕生時には酸素が存在しておらず、酸素がもたらされるようになったのも長い時間を掛けてのものであり、今の私達が《 当たり前 》に享受出来ている酸素も約10億年後には失われているという事です!

 

では、2つ目の素材は司馬遼太郎 氏の著作『 十六の話 』(中央公論社:1993年)から、「訴えるべき相手がないまま」という章を著作権法上の引用(抜粋も含む)の範囲内でご紹介していきますので、ここも気軽な感じで眺めてみて下さい!

なお、この章は1984年に開催された国際シンポジウム「子どもたちに何を伝えるか - 二十一世紀へのメッセージ」における基調報告からのものになりますので、今から約40年程前のものになります、、、