冬至という初夢に贈る物語(メタファー) ~パート4~:丘の上の金色の窓

『 丘の上にある貧しい家に、小さな男の子と、その両親が仲良く暮らしていました。
  男の子は毎日お父さんと一緒に山の仕事に出かけて、一生懸命お手伝いをしています。
  休みなくお手伝いを続けるのですが、夕方になると、1時間だけ自由に遊んでもいい休憩をお父さんは与えてくれました。

 

  その夕方の自由時間がくると、男の子は毎日決まって、家の後ろにある小高い丘の上に出かけていました。
  なぜなら、その丘の上から、はるか向こうの丘を眺めると、その丘の上にはとても綺麗な金色の窓のある家が見えたからです。
  男の子は、その金色の窓がとても好きで、夕日が沈む頃になると、しばらくの間、キラキラとまぶしいほどに光っているのです。

 

  それを眺めていると、そのうちに、その家の人が扉を閉めるのか、急に光が消えてしまいます。
  男の子は、夜がやってくるから金色の窓も閉めるのだろうと思い、自分の家に帰っていくのでした。

 

そして、ある日、男の子のお父さんが、毎日よくお手伝いをしてくれるご褒美として、一日の自由な時間をくれました
  男の子はとても喜んで、毎日夕方に眺めている、丘の向こうの金色の窓のある家に行ってみようと出かけました。
  丘を下っていく足取りも気分も軽く、疲れると木の実を取って食べたり、綺麗な小川の水を飲んだりしながら、楽しみに歩いて行きました。
  そして、今まで眺めていた丘を登って、ようやく目的の金色の窓のある家に辿り着きました。

 

  しかし、間近で見るその家の窓は、自分の家と変わらない窓で、金色のガラスでもありませんでした。
  男の子は楽しみにしていただけに、とてもガッカリしてしまいました。

 

それでも、せっかくの自由な時間を貰えたのだから、男の子は勇気を振り絞って、その家のおばさんに事情を話してみた所、そのおばさんは優しい微笑みで、『おばさんの家は貧乏だから、金色の窓なんてありませんよ。』と男の子に話しました。
  その家には、男の子と同じ年くらいの女の子がいたので、おばさんは女の子と遊んでおいきよと言って、娘を紹介してくれました。

 

  女の子を見ると、自分と同じように裸足で、着ている服も質素なものでした。
  二人はおばさんから貰った果物を食べたり、自分の家で飼っている動物の話などをしたりして、とても仲良くなりました。

 

  そこで男の子は女の子に金色の窓の家の事を話しました。
  すると女の子は、

 

「 私も毎日見ているよ。

    でも、それはここではなくて、ずっとあっちの方。 」

 

  と男の子を案内してくれました。
  女の子は、

 

  「 ほら、ちょうど、あっちの方に見えるよ。 」

 

 と向こうの丘を指さしました。
  すると、確かに女の子の指さす方には金色の窓のある家が見えるので、男の子はビックリしてしまいました。

 

  それは、向こうの丘の上にある、自分の家だったのです!!!

 

  男の子は女の子と別れて、夕日の中を自分の家に向かって走り続けました。
  そして、自分の家の前に辿り着き、家の窓から中を覗くと、ランプの灯りや暖を取る薪(たきぎ)、そして、お母さんが作ってくれた夕食がテーブルの上で男の子を待っていてくれました。

 

  そして、その夜、男の子はお父さんとお母さんに、嬉しそうに今日一日の楽しい出来事を話して、こう言いました。

 

  「 僕たちの住んでいるこの家にも、金色の窓が付いているんだよ!!! 」 』

 

と、、、
では、物語(メタファー)はここで終了です(笑)