分け与える事と分かち合う事の違い ~利己主義と利他主義という動機~

【 不動産バブルの再来 】

菊陽町のみならず、周辺の町でも、今後の「人口増加」を見越しマンション等の建設ラッシュが始まります。

 

不動産投資家:
『 土地の価格が上がり過ぎている。 いい部分もあるんですけど、自分達からすると、手が出ないような価格になって来ている。 (その前に投資して)良かったなと思います。 チャンスでした。 』

 

第1工場の近くにある大津町にも、多くの賃貸マンションが建設されます。

マンションの家賃もTSMCの「進出前」に比べると、1~2万円ほど増額になりました。

 

 

 

部屋の大半はあっという間に契約済みとなり、入居者の大半が半導体関連企業の社員で、法人契約も多いです。

そして、マンション開発会社の社長は「まとまった土地に巡り会えて良かった」と話す一方で、

 

マンション開発会社の社長:
『 TSMCの影響が、ここまであるとは思っていなかったですよ。 100年に一度というのは、この事か。 』

 

そして、マンションのみならず、TSMCの「進出決定」以降、商業地・工業地・住宅地の地価が軒並み上がり続けています、、、

 

【 家賃値上げによる青果店への影響 】

菊陽町には、2001年にオープンした青果店があります。

 

青果店の社長:
『 不動産屋さんの方から、「家賃の相談があります」という事で、現在の家賃の3.5倍ほどの金額の提示があったので、「ちょっと、それじゃ払っていけないよ」という事で。 もう、僕の人生も終わるのかなって。 お店をやっていく、その後どっか移転してやっていくとか、そういった気持ちというのは全くなくなりました。 』

 

多くの常連客がいるにも関わらず、青果店は閉店を余儀なくされました。

そして、閉店から1年後の店の「跡地」には、マンションが建設中です、、、

 

 

【 酪農や農地への影響 】

第1工場の近くにある大津町では、牛を飼育をしている農場があります。

農場では約200頭の牛を飼育し、毎日3トンの生乳を出荷しています。

 

父親の代の1957年に開業し、家族ぐるみで農場を営んでいますが、「循環型」の酪農を大切にし、牛糞の堆肥を畑に蒔き、牛の餌のトウモロコシや牧草を栽培しています。

14㏊(ヘクタール)の農地で栽培していましたが、不動産会社から7㏊を「工業用地」の為に使いたいと、売却が持ち掛けられました。

 

7㏊の内訳は、「自作地」が4㏊で、「借地」が3㏊だった事から、借地の「地主」は売却を希望します。

これ迄の地主との付き合いもあり、自作地を含む全7㏊を売却せざるを得なくなりました。

 

農場は8年前の熊本地震で被災し、3億5、000万円掛けて「再建」したばかりです。

農地を売れば売却代金は入るものの、多額の借金が残ります。

 

農場主:
『 最初はTSMCが熊本に来るという事で、いい事だなと。 そしたら、まさか我々が作付けしている農地が、関連の会社の用地になるなんて、考えていなかったものですから。 農地がないと酪農を続けていく事は出来ない。 時代の流れに追いつかないような感じです。 』

 

農地が減少すれば「牛の餌」が減り、それに伴い「牛も」減らさざるを得なくなります、、、

 

 

【 時給戦争というラーメン店への影響 】

2年前に熊本市から菊陽町に本店を移した、ラーメン店があります。

「当初」は半導体関連企業の社員で店は繁盛しますが、求人を出しても「人が全く集まらない」状況になりました。

なぜなら、周辺では半導体関連企業の求人が「増加」しているからです。

 

ラーメン店の店主:
『 時給戦争みたいな感じ。 ラーメン屋で出せる時給なんて、たかが知れている所もありますんで、続けていくのは難しいかな・・・ 大きな会社が来て、新しい仕事が出来て、人が増えていく事に関しては、いい事だと思っているので、そこまでマイナスには考えていないですけど。 そこで今までやって来た中小の方々のお店だったりが、やりにくくなっている人も出て来ているんだなと、最近は感じますかね。 』

 

現在、熊本県はTSMCに第3工場の建設の「要望」をしています。

そして、熊本県は地下水が豊富が故に、工場で使う「大量の水」を賄う事が出来ます、、、