冬至という初夢に贈る物語(メタファー) ~パート2~:ネズミの嫁入りから

『 ある百姓の倉の中に、ネズミの夫婦が一人娘のネズミと3人一緒に仲良く暮らしていました。
  ネズミの夫婦は娘もそろそろ年頃と考えて、誰のお嫁さんがいいだろう?と話し合っていました。
  母ネズミは、

 

  「隣の若いネズミはどうだろう?」

 

  と言うと、父ネズミは、

 

  「いやいや、娘をネズミに嫁がせる訳にはいかない。ネズミなんて世の中では役に立たない、ありふれた存在だ。ネズミよりも、もっと素晴らしいお方に嫁がせたい」

 

  と話すのです。
  そこで、父ネズミは考え、

 

  「太陽はどうだろう?いつも世の中を明るく照らしてくれているし、毎日決まった時間に顔も見せてくれるし、大層まじめであろう」

 

  と思い、娘を連れて太陽の所へ向かいました。
  そして、太陽に娘と結婚して欲しいとお願いしました。
  すると、太陽は笑いながら、

 

  「私の事をそう思ってくれてありがとう。しかし、雲の方が私より素晴らしいよ。いくら私が世の中を照らしても、雲は私の光を遮る事が出来るからね。それに私は決まった場所にしか顔を出せない。しかし、雲は色々な所に流れて行く事が出来るしね」

 

  と言うのです。
  父ネズミはなるほどと思い、今度は雲の元へ向かいました。
  そして、雲に娘と結婚してくれるようお願いしました。
  すると今度は残念そうに雲は言うのです。

 

  「とんでもない。私は風にはかなわないよ。風は一吹きで私を吹き飛ばす事が出来るからね。それに私の一存で雨を降らせたりも出来ないんだよ」

 

  またしても父ネズミはそうだなぁと納得し、風の所へ向かいました。
  そして今度も風に娘と結婚してくれるようお願いしました。
  すると、風はびっくりした様子で話すのです。

 

  「いやいや、私よりも壁の方が素晴らしいよ。私がいくら力一杯風を起こしても、壁はどすんと構えていて、びくともしないのだからね。終いには私は吹き疲れて休んでしまうのさ」

 

  父ネズミは、世の中には、上には上がいるものだなぁ、と思いながら、壁の所へ行きました。
  そして、これが最後であるように願いながら、壁に娘と結婚してくれるようにお願いしました。
  ところが、壁も断りました。

 

  「ネズミさんよ、何をおっしゃることやら、とんでもない。ほら、見てごらんなさい。私がいくらどっしりと構えていても、ネズミさんにはかなわないよ。いつの間にか、ガリガリかじって穴を開けられてしまうからね。そして、いつも私の足元をスルリとすり抜けてしまいますよ。私より素晴らしいのは、あなた方ネズミさんですよ」

 

  父ネズミは家に戻り、この事を母ネズミと娘と話し合いました。
  すると父ネズミは、

 

  「今まで、自分達が素晴らしい存在だとは考えた事もなかったよ・・・」

 

  と話し、母ネズミも、

 

  「それは私も考えた事はありませんでした。自分達の考えだけで娘の結婚相手を判断していたら、どうなっていた事でしょうか・・・」

 

  と言いました。
  すると、隣の家の方からガリガリと音が聞こえてきました。
  ネズミの親子3人は外に出て隣をのぞき込みました。
  すると、隣の若いネズミが、年老いた両親ネズミのために、獲物をかついで一生懸命、壁の穴を掘っていたのです。

 

  それを見ていたネズミの親子3人の心は決まりました。
  その後、娘ネズミは隣の若いネズミと結婚し、両家のネズミは仲良く末永く暮らしていきました・・・ 』

 

では、今回の物語はここでお終いです。
皆さんに素敵な「初夢」が訪れますように!!!(笑)

 

ちなみに、参考になるかもしれない他のTOPICSと致しましては、2015年9月11日の第62回目のTOPICS『 見る・聞く出来事には意味があるのか? 』、2015年8月27日の第60回目のTOPICS『 感覚を磨くとは 』などもございます!

 

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