正論を武器にすると本末転倒に陥る ~人工妊娠中絶の分断から~

第539回:『 正論を武器にすると本末転倒に陥る ~人工妊娠中絶の分断から~ 』

【 その他参照ワード:プロ・ライフ、プロ・チョイス、SB8、図書館戦争 】

S.Light.M(カウンセリング・ヒプノセラピー・レイキヒーリング・各種セミナー&認定講座)の瀬川です!

以前のTOPICS『 正論 ≦ 一部の常識 ≦ 行動 ~多数派を装っていないかという自問自答~ 』では、小説《 図書館戦争 》(有川 浩:角川文庫)から、次のセリフを取り上げました!

 

『 正論は正しい、だが正論を武器にする奴は正しくない。 お前が使ってるのはどっちだ? 』

 

この小説は、権力者にとって都合の悪い思想や言論は、全て取り締まりの対象とする、とても息苦しい世界が舞台で、大きなテーマは思想・言論の「自由」を守る事です。

 

 

そして、「正論」には、

 

相手を打ち負かす

 

という側面があるのも、事実であり真実です!

「正論を振りかざす」「正論を吐く」などの言葉がある一方、言われた側は「ぐうの音も出ない」という事です(笑)

 

そして、前回のTOPICS『 ジェンダーサイエンスから性差を考える ~中性化が鍵を握る!?~ 』の締め括りでは、

 

体の面では、人間は「生物から」離れていっている

心の面では、人間は「人間から」離れていっている

 

と伝えました!

そして、

 

基本的には、人工妊娠中絶は好ましくはない

 

というのが、多くの人が感じる「正論」でしょう、、、

 

 

では、番組『 BS世界のドキュメンタリー 』(NHK BS)から、「 アメリカ “中絶論争” の再燃 女性の権利をめぐり深まる分断 」(2024年フランス制作)の回を少し眺めます!

 

【 人工妊娠中絶が認められたキッカケ 】

現在のアメリカでは、避妊法などの「性教育」をする学校は多くありません。

故に、望まない妊娠をする比率が、欧米で最も高い国の一つになっています。

 

アメリカで人工妊娠中絶(以下、中絶)が認められたのは、テキサス州に住む一人の女性の訴えがキッカケでした。

1969年、3人目の子どもを妊娠した事で中絶を望むものの、テキサス州の「法律」が壁となって立ちはだかりました。

そこで、女性はジェーン・ローという仮名で、テキサス州と州検事のヘンリー・ウェイドを提訴しました。

 

この「ロー 対 ウェイド裁判」で連邦最高裁判所は中絶を認め、これがその後のアメリカの「判例」になりました。

そして、1973年には、妊娠22週迄の中絶が全米で「合法化」されました。

 

 

【 覆(くつがえ)る判例 】

2022年6月24日、連邦最高裁判所は《 中絶は憲法で認められた女性の権利 》とした、約50年前の先の判例を覆しました

この数年前から連邦最高裁判所では、「避妊薬の保険適用、同性婚、中絶」に反対派の判事を次々と任命しました。

9人の判事の内、6人が反対派で、判事達は「終身制」です。

 

そして、この後にレイプや近親間の妊娠でも、受胎後の中絶を禁止する法律がテキサス州で成立しました。

故に、テキサス州で中絶処置をしていた、23の医療機関「全て」が中絶処置を中止しました。