出自を知る権利と特別養子縁組&内密出産 ~自分が生まれて来た何故を問う~

【 特別養子縁組制度が出来たキッカケ 】

特別養子縁組制度が出来たキッカケは、1970年代の出来事にありました。

それが、

 

コインロッカーへの赤ちゃんの遺棄が相次ぐ

 

という出来事でした。

このような社会状況の折、宮城県石巻市で産婦人科医をしていた菊田 昇 氏が、地元の新聞に以下の広告を掲載しました、、、

 

『 生まれたばかりの男の赤ちゃんを我が子として育てる方を求む 』

 

つまり、菊田 氏は、

 

女性が望まない妊娠で生んだ赤ちゃんを・・・

子どもを欲しい夫婦に斡旋する・・・

 

という事を考えました。

 

 

しかし、菊田 氏は斡旋を実行する際、

 

赤ちゃんが育ての親の実子と見せかける・・・

虚偽の出生証明書を作成する・・・

 

との手法を取りました。

 

その事に関し、菊田 氏は当時のインタビューで話します、、、

菊田 氏:
『 法律違反はもちろん覚悟でございますけども、子どもの命をこれ以外に救いようがない場合、止むなしと。 』

 

そして、「実子特例法」の導入を提唱しました、、、

菊田 氏:
『 赤ちゃんの受難を防ぐには、母親の戸籍に入れずに、育ての親の実子として籍を入れる道を開く他ない。 』

 

 

【 特別養子縁組の戸籍の仕組み 】

1982年、国の法務省法制審議会で、新たな養子縁組制度の検討が始まりました。

この審議会では、

 

実の親子とほぼ同様の戸籍の記載が可能な養子縁組制度で・・・

一見しただけでは養子である事が分からない戸籍の仕組み・・・

 

が検討されました。

そして、その仕組みが以下の流れです。

 

①  生まれた子どもは、ひとまず生みの親の戸籍に入る

② 家庭裁判所で審判が確定し、縁組みの届け出がされると、生みの親の戸籍から除籍される

③ それと同時に、子どもが筆頭者となる単独戸籍(子どもだけの戸籍)が作成される

④ その後、子どもが育ての親の戸籍に入ると同時に、単独戸籍から子どもは除籍され、実子と同様に長男・長女などと記載される

 

そして、上記③に該当する、子どもだけの単独戸籍を設ける理由が、

 

子どもと生みの親の法律上の親子関係が終了した事を表明し・・・

生みの親と育ての親の間で、干渉が起きないようにする為・・・

 

と解釈されています。

 

 

そして、

 

将来的に子どもが特別養子である事に気づける為に・・・

《 民法817条の2 》による裁判確定日も戸籍に記載される・・・

 

との仕組みが取られました。

更に、

 

子ども(養子)が望む場合には・・・

除籍された戸籍を辿る事も可能であり・・・

生みの親の氏名や本籍なども知る事が出来る・・・

 

との仕組みも採用されました。

 

こうして、1987年に特別養子縁組制度が創設されました。

ただ、国は戸籍や裁判記録を子どもが辿る事が可能との理由から、

 

子どもの出自を知る権利は保障されているとの立場を取り・・・

その後の対応は各家庭に任せ切り・・・

 

との姿勢が、現状に繋がっています。

 

 

【 ルーツ探しを拒む壁 】

しかし、同じく現状では、例えば特別養子縁組みを斡旋した児童相談所に問い合わせても、

 

既に当時の資料は処分した

 

とのケースも多々生じています。

また、行政の対応では、特別養子縁組が成立している事で、生みの親とは血縁関係が終了しているが故に、

 

もはや生みの親は赤の他人なので・・・

個人情報に該当するが故に教えられない・・・

 

とのケースも多々生じています。

 

そこで、他の手段として、例えば児童養護施設や自治体に記録開示を求めた場合でも、同じく生みの親のプライバシーの壁が立ちはだかり、

 

知りたい情報は黒塗りだらけ

 

とのケースも多々生じています。

 

この経験をした特別養子のAさんは、以下のように話します、、、

Aさん:
『 こちら側は、何が黒塗りにされているのか分からないので、何を隠されたかまで分からないのでですね、何とも言いようがない所があるんですが、、、 』

 

 

【 ルールも無く全ては当事者負担 】

先ほどの通り、法律上も赤の他人となった生みの親のプライバシー保護も、確かに必要な事でしょう。

ただ、出自に関わる情報に関し、

 

どのように開示するかの判断は・・・

各自治体任せになっている・・・

 

のが実態です。

また、最近では民間の斡旋団体などが、

 

突如として廃業や倒産に陥り・・・

資料などが行方不明になる・・・

 

とのケースも多発しつつあります。

 

そして、2022年、全国の児童相談所を対象に「養子縁組の記録の開示方法のルール」を定めているかに関する、国の調査研究が行われました。

すると、

 

定めている36%

定めていない59%

民間の斡旋団体でも、半数が定めていない

 

との回答結果になりました。

そして、養子が知る出自の情報の中には、

 

知らなければ良かったなどの・・・

ネガティブなリスクも伴っている・・・

 

のが事実です。

更に、そのようなネガティブな面も含め、ルーツ探しに取り組む際の、

 

当事者の負担はとても重い

 

のも事実です、、、

 

 

では、二つ目は2022年放映の番組『 NNNドキュメント 』(くまもと県民テレビ)から、「 大きくなった赤ちゃん ~ゆりかご15年~ 」の回を少し眺めます!