【 人格の統合を試みる 】
1978年6月、精神科医達は裁判が可能か否かの話し合いを行いました。
なぜなら、未だに人格によって記憶がバラバラであるが故に、裁判での証言も一貫性が無くなり、責任能力の有無も判断出来ない可能性が残っていたからです。
そこで、この時点で10(人)に分かれていた人格を、出来るだけ少なくまとめる取り組みを試みます。
それが、
人格の統合!!!
でした!

精神科医達は、統合が可能になる根拠として、
全ての人格は・・・
(ビリーという)一人の人間の断片化された部分であり・・・
なおかつ(ビリーという)同一の連続体である・・・
という点を考えました。
故に、今後の方針を含め、
皆で協力出来る方法を・・・
人格同士に話し合わせる・・・
という手法を用いました。
この狙いにあったのが、
共通し理解し合える部分を見出す事が出来れば・・・
統合のステップとして役立てる事が出来る!!!
と考えたからです!

しかし、当然ながら、それぞれが自分という人格(感覚)を保っており、統合に拒否する人格もいれば、人格同士の好き嫌いも生じ、簡単には進みませんでした。
そして、7ヶ月を掛けて、
10(人)の人格を、ビリー・アーサー・レイゲンの3人に統合する・・・
という事に成功し、裁判も可能と判断されました、、、
【 割れる世論 】
1978年12月4日、判決は心神喪失との理由で、ビリーは無罪となりました。
しかし、
世論は理解と反対の真っ二つに分かれる
という事態になりました。
例えば、裁判に関与していない、外部の精神科医の中には、
ビリーという一人の人間を無罪にすれば・・・
ビリーの中に存在している・・・
犯罪者の人格(アダラナ)を放免する事になり・・・
再び犯罪を犯す(被害者が出る)リスクがある・・・
などと指摘しました。

しかし、ビリーは無罪放免になった訳では無く、アセンズ精神病院に引き続き入院し、治療を受ける事を義務付けられました。
つまり、再犯の疑いは無いと医師が判断し、更に裁判所が認めるまで、ビリーは自由の身にはなれませんでした、、、
【 新たに現れた人格が鍵を握る!? 】
3週間後の1978年12月末、再び新たな人格が現れました。
フィリップと名乗る20歳の男で、粗暴な面が見られました。
すると、フィリップは1枚の便箋を医師に差し出します。
その便箋には、これ迄に現れた10(人)の名前(人格)に加え、
今、初めて、新たに判明する名前(人格)が・・・
13(人)も書かれている上に・・・
最後には名前の無い人格の《 教師 》・・・
という存在も書かれていました。
そして、便箋を見せられたレイゲンは、『 13(人)の人格は役目を終えたから、自分が黙らせた。 』と説明します。
しかし、その13人とは、
心の奥に隠して来た人格・・・
でした。
その中には、麻薬を乱用するフィリップ、拳銃で動物を虐待するウォルターなど、
危険な行動が伴う人格達・・・
が含まれていました。
故に、表に出さぬようにレイゲンが制御して来たものの、再び暴れる可能性があると話します。

更に、教師に関しては、
一つにまとまったビリーだ・・・
とレイゲンは話します。
つまり、
教師は全ての人格の記憶を持ち合わせながら・・・
一度も表に現れた事が無い人格・・・
でした、、、
故に、精神科医達は、
教師が表に現れれば・・・
統合が完了する・・・
と考えました、、、
更に、危険で問題行動を起こす13人も、
再び心の奥に隠せるのでは・・・
と考えました、、、

では、今回の前半はここ迄ですが、
多重人格は心を守る為に・・・
自らの人格を「分断」する現象・・・
との表現も可能かもしれません。
そして、TOPICSでは、
統合を「実現」する為に・・・
分断を「経験」する必要は無い・・・
ただ、分断という経験を、敢えて「作り出す」事は可能・・・
との視点を、幾度も伝えています、、、
禅問答のようで、意味が分からないかもしれませんが、これが次回の後半のヒントです(笑)
※ 関連TOPICSはこちら
・ 『 環境が人を創る事の功罪(光と闇) ~スタンフォード監獄実験&ジキルとハイドより~:前半・後半 』
・ 『 もう一つの顔&裏の顔はネガティブ??? ~フランケンシュタインから~ 』
・ 『 マトリョーシカという自分 ~「三位一体」という自分自身を意識してみる~ 』
※ カウンセリング等をご検討の際には、私が登録相談員をしている以下のリンク先も参考になります。