絵空事が現実になる愚の骨頂:前編 ~禁書が招く思想統制~

【 本を守る動機と行動 】

性的マイノリティーや人種差別などをテーマにした児童文学作品を創作しているのが、日系アメリカ人4世の女性作家マギー・トクダ・ホールです。

そして、マギーが本を守る活動に取り組み始めたのが、自身の著作『 LOVE IN THE LIBRARY 』の創作がキッカケでした。

そして、執筆を開始したのが、1期目のトランプ大統領が就任した2017年でした。

そして、マギーはその理由に関し、

 

権力を使って・・・

白人至上主義を実行する意図が・・・

明白だったから・・・

 

と、説明します。

そして、この作品では、第二次世界大戦中に強制収容された日系アメリカ人を描いています、、、

 

 

1941年、日本(軍)の真珠湾攻撃がキッカケとなり、太平洋戦争が勃発しました。

そして、

 

アメリカ政府は国家の安全を理由として・・・

約12万の日系人を集団として・・・

強制収容所に送り込む・・・

 

という措置を取りました。

故に、多くの日系人は家や財産を剥奪されました。

 

しかし、その一方でドイツ系やイタリア系の住民は、集団で収容される事はありませんでした。

このように、扱いに違いが生じた理由が、

 

アジア人への差別意識があったから

 

と、「現在では」分析されています。

そして、作品の主人公として取り上げたのが、日系アメリカ人だったマギーの祖父母でした。

なぜなら、マギーの祖父母は強制収容所の図書館で出逢い、恋に落ち、過酷な仕打ちに耐え抜きながら、最終的に家族として結ばれたからです。

 

 

そして、2022年に出版されると、学校向けの本を取り扱う「大手出版社」から声が掛かりました。

しかし、一つだけ「条件」が出されました。

それが、

 

作品から人種差別の言葉を全て削除する

 

というものでした。

なぜなら、人種差別の言葉が入っていると、

 

学校に採用されない事を・・・

大手出版社は恐れたから・・・

 

という背景があったからです。

しかし、マギーは毅然として話します、、、

 

マギー:
『 人種差別という言葉を使わずに、この物語は語れません。 人種差別はあったので。 この国では沢山の人が、政府の下で人種差別を経験していると思います。 だから私は、はっきり「ノー」と、言いました。 』

 

更に、祖父母の子どもである、マギーの母も話します、、、

 

マギーの母:
『 人種差別を削除して欲しいなんて、正気なの? 冗談でしょう? 歴史の隠蔽よ。 この国は歴史の真実を語る事を、いつから恐れるようになったのでしょう、、、 』

 

 

【 水と油の主張 】

貧困家庭で育った黒人少女を、主人公にした本がありました。

しかし、この本を公立学校に置く事に関し、教育委員会では賛否が問われる事態になりました。

そして、この本は性暴力や人種差別など、

 

少女が直面した過酷な現実を・・・

ありのままに描いた作品・・・

 

でした。

故に、

 

アメリカの根深い問題に切り込んだ作品として・・・

年間ベストブックにも選ばれる!!!

 

という、高い評価を得ている本でした!

 

 

勿論、内容が内容なだけに、作品の中では性的描写や差別用語も飛び交います。

しかし、この本の撤去を主張する側の理由は、

 

性的描写が子どもにそぐわないから・・・

不謹慎で不適切の一点張り・・・

 

でした。

そして、マギーはこの件に関し、教育委員会の会議で発言する機会を得て、次の通り話しました、、、

 

マギー:
『 こんにちは。 発言の機会を頂き、ありがとうございます。 私は作家のマギー・トクダ・ホールです。 公立学校に通う2人の子どもの母親で、この地区で撤去された本の著者です。 文学作品の制限や撤去について、考え直して頂けないでしょうか。 検閲は嘘を付く行為です。 大人が不都合な真実から、子どもの目を逸らす為に。 』

 

 

【 子どもの心を踏みにじる州法「SB13」 】

昨年の2025年、公共施設から撤去、または、閲覧を制限された本は、6588タイトルに上りました。

そして、これに大きく深く関与しているのが、同年の9月に施行された、

 

テキサスの州法「SB13」

 

です。

SB13の骨子(基準)は、

 

「猥褻・有害・冒涜」と見做した内容を含む本を・・・

図書館に所蔵しない事を学校に求める・・・

 

というものです。

 

そして、最も大規模な動きが起こっているのがニューブラウンフェルズ地区であり、既に1000冊以上が撤去されました。

更に、この地区の学校に所蔵されている全ての本が「審査」という名の検閲を受け、一時的とは言え、図書館は閉鎖に追い込まれました。

そこで、翌10月、図書委員を務める中学2年生の女性徒アメリア・ベッカーは、教育委員会が主催した公聴会で、仲間と共に声を上げました、、、

 

アメリア:
『 学校は私の成長に繋がる本を提供してくれると信じて来ました。 でも、今の政策によって本は制限され、私の信頼は崩れました。 本を禁じて信頼を裏切るのは正しくありません。 良い事より、悪い事の方が大きいです。 』

 

更に、同じく公聴会では、教師も涙ながらに訴えました、、、

 

教師:
『 火曜日の朝、、、 生徒達から沢山質問されて、私は答えられませんでした。 何故、本を読めないの? 紙で指が切れて危ないの? 家で何の本を読めばいい? ずっと読めなくなるの? 私達は何か悪い事をしたの? 何故、本を読む事が許されないのか、生徒にご説明を願います。 』

 

 

そして、図書館の閉鎖は2週間で解除されたものの、本の検閲と撤去は続けられました。

そして、アメリアは図書委員として本を撤去する作業に携わる中、奇妙な感覚を抱きました、、、

 

アメリア:
『 (撤去する本の)リストを見ると、「これは何かの間違いでは?」と、思いました。 禁書は、とても狭い考え方で進められています。 自分の利益しか考えられない人達は、他の人にどれだけ影響を与えるか分かっていません。 それが辛いです。 』

 

実は、同年の12月、アメリアが通う中学校の図書館の司書が、

 

禁書に抗議した所・・・

発言を控えるよう・・・

教育委員会から圧力を受けたと同時に・・・

SNSで誹謗中傷に晒され退職した・・・

 

という出来事がありました、、、

 

アメリア:
『 先生(司書)の声が奪われてしまったと思いました。 大好きな先生が、こんな形で影響を受けるのを見るのは、本当に辛いです。 』

 

 

そして、マギーはアメリアに話します、、、

 

マギー:
『 誰かの声を奪う事は、その人への暴力を可能にする最初の一歩です。 』

 

アメリア:
『 はい。 検閲は些細な事から始まると思います。 最初は性的な内容から始まって、次は人種差別を扱った本も禁止されるかもしれない。 雪だるま式に大きくなって、いつの間にか、手に負えなくなるでしょう。 』