【 理由が分からぬままの拒絶 】
番組が調査を終えた3週間後の2014年12月、モンテ・サルバードは100人を超えるイゾラドに襲撃されました。
村人は何とか脱出出来たものの、家の中は荒らされ、家畜は全て殺されました。
まるで、バナナを含めたコミュニケーションは無かったかの如く、悲惨な状況に陥りました。
そして、襲撃から1ヶ月後、政府の調査団が森の中を調査した所、森の入口にカエルの死骸が吊されていました。
それは、
『 ここから先は、入るな。 』
という、先住民の社会に伝わる合図でした。
つまり、
文明社会に対する拒絶の意思表示
という事を意味します、、、

【 危険を伴う接触 】
イゾラドとの接触には、
常に懸念と危険が付きまとっている
というのが実態です。
なぜなら、1960年代の接触では、
イゾラドには病原菌に対する免疫が無く・・・
文明社会の人間と不用意に接触した事で感染し・・・
多くのイゾラドが瞬く間に命を失った・・・
というケースが相次いだからです。
そして、20世紀の100年間では、
計画も準備も無い無謀な接触に加え・・・
ゴム農園の農園主がイゾラドを奴隷の如く働かせ・・・
60を超える部族が絶滅した・・・
という負の歴史がありました。

【 脅かされ始める文明社会 】
2015年8月、今度はモンテ・サルバードとは別の場所で、青年が弓矢で襲われ殺害されました。
そして、現場に残されていた弓矢は、以前にモンテ・サルバードで見つかった物とは明らかに違っていました。
青年が暮らしていたのは、マチゲンガ族のシベチアリ集落と呼ばれ、モンテ・サルバードから150キロ近く離れていました。
故に、青年を襲ったのは、モンテ・サルバードに現れたのとは別のイゾラドと考えられました。
シベチアリ集落も比較的新しいものの、100年以上前に文明社会とは接触済みです。
そして、現在は自給自足の生活から離れ、宿泊等の観光収入で生計を立てて、暮らしています。
しかし、青年が殺害された事で、集落には観光客が来なくなり、経済基盤を失いました。
それが故に、村人はイゾラドに対し、
目には目を・・・
歯には歯をの如くの・・・
強い復讐心と憤怒の念を抱く・・・
という状況になりました。
そして、それは同時に、
イゾラドの出現が、文明社会を脅かし始めた・・・
という兆しの現れを意味しました、、、

【 新たな接触が始まる 】
イゾラドの出現が多発する中、ペルー政府は新たな接触の為の前線基地を設け、接触したイゾラドを政府の管理下に置く事を決めました。
つまり、
最終的にはイゾラドを文明社会の一員にする事が目的
という取り組みでした。
そして、モンテ・サルバードのように、川を挟んで森が一望出来る高台の上に前線基地は作られました。
そして、番組が調査で訪れる前に、既に一つの家族と9回の接触に成功していました。
2015年9月に最初の接触が始まり、家族は乳飲み子を含め9人でした。
そして、
名前を手始めにして情報を探る
という試みが取られました。
10回目の接触では、イゾラドに芋を渡すと同時に、文明社会の握手の作法を教えたり、子ども達と遊んだりなど、以前にも増したコミュニケーションが取れるようになりました。

ただ、家族を率いる父親は、部族のリーダー格の一人と見做され、更にシベチアリの集落で青年を殺害した張本人と目星を付けられていました。
そして、番組のカメラマンが、初めてイゾラドとの接触を試みる事になりました。
ちなみに、カメラマンは健康チェックを受け、10種類以上の予防接種を事前に受けています。
そして、カメラマンには友達や親戚を意味する、「ノモレ」という言葉を覚えさせました。
すると、最初は警戒されるものの、色々と話をしてくれるようになりました。
その接触の際に、イゾラドは次の3つの言葉を最初に話して来ました、、、
『 あなた(カメラマン)は誰なの??? 』
『 (私達に)何もしないよね!? 』
『 私の子ども(達)に害を与えるなよ!!! 』

【 深めるコミュニケーション 】
12回目の接触の際、番組はイゾラドに3つの質問を投げ掛け、コミュニケーションを深めました、、、
番組:
『 文明側の人間を、どう思っているのか??? 』
イゾラド:
『 あなた達は恐い。 』
番組:
『 何故、(シベチアリの)青年を殺したのか??? 』
イゾラド:
『 あなた達が先に殺した。 』
番組:
『 あなた達は幸せなのか??? 』
イゾラド:
『 幸せは分からない。 』
そして、接触とコミュニケーションを取り続けた3ヶ月後、
イゾラドは『 帰れ 』と告げて・・・
森の奥に消え・・・
(当時は)それから姿を現していない・・・
という状況になりました、、、

【 番組の総括では 】
番組では、以下の総括がされました、、、
コロンブスが到来して500年あまり・・・
文明社会が膨張するにつれ・・・
イゾラドが生きる森を削り続けて来た・・・
更に、病原菌を持ち込み・・・
開発との名目で・・・
違法を含めた森林伐採で・・・
一方的に土地を奪う・・・
現在、イゾラドが生きる森は僅か5ヶ所のみ・・・
人口は多く見積もっても500人程度と考えられている・・・
そして、番組の締め括りのコメントです、、、
番組:
『 イゾラドは、2~3年後には地上から姿を消す。 専門家は、そう予測している。 文明と接触した事の無い人間を、人々はイゾラドと呼び、凶暴で野蛮な人間、マシュコピーロと名付けた。 だが、彼らが自分達を何と呼ぶのか、私達は見知(みし)らない。 』

では、番組は終了ですが、シンプルにコメントします!
それは、
言葉は名前を創造する事を可能にし・・・
名前は存在を認める事を可能にする・・・
という視点です、、、
そして、これらは至極当然の事と思うでしょうが、イゾラドが答えた『 幸せは分からない。 』とは、
幸せの言葉が無いから分からないのか???
文明社会との幸せの違いが分からないのか???
そもそもが幸せを感じる事が無いのか???
など、様々に考えられます、、、
そして、次回の内容にも繋がりますが、
イゾラドも私達も人間同士・・・
というのが事実であり真実です、、、

では、締め括りに繋がるメタファー(物語や比喩・暗喩)として、『 頭のいい子を育てるおはなし 366 』(主婦の友社)から「 フクロウの染物屋(そめものや)さん 」を眺めます!