冬至という初夢に贈る物語(メタファー) ~パート9~:成長は螺旋状に

【 七人のおやじさん 】

昔、ある国を男が旅していました。

歩いていると、とても大きな農園に辿り着きました。

城とも言えそうな、立派な家も建っています。

「 ここなら気持ちよく休めそうだ。 」

 

旅人が休ませてもらおうと門をくぐると、灰色のヒゲを生やしたおじいさんがいたので、声を掛けました。

「 こんばんは、おやじさん。 一晩だけ、私を泊めてもらえませんか。 」

「 わしはこの家のおやじじゃないんだよ。 台所に行って、わしの父親に聞いてみてくれ。 」

旅人は言われた通り、台所に行きました。

 

 

さっきのおじいさんより、もう少し年取ったおじいさんが、暖炉の前にいます。

「 こんばんは、おやじさん。 一晩だけ、私を泊めてもらえませんか。 」

「 わしはこの家のおやじじゃないんだよ。 居間にいるわしの父親に聞いてみてくれ。 」

 

旅人が言われた通り、居間に行くと、テーブルで大きな本を読んでいるおじいさんがいました。

さっきのおじいさんより、また少し年を取っていて、ブルブルガタガタ震えています。

「 こんばんは、おやじさん。 一晩だけ、私を泊めてもらえませんか。 」

「 わしはこの家のおやじじゃないんだよ。 向こうの長椅子に座っているわしの父親に聞いてみてくれ。 」

旅人はまた、言われた通り長椅子の所に行きました。

 

 

長椅子には、さっきのおじいさんより、更に年取ったおじいさんがいて、タバコのパイプを、フルフル震えながら、プカプカ吸っていました。

「 こんばんは、おやじさん。 一晩だけ、私を泊めてもらえませんか。 」

「 わしはこの家のおやじじゃないんだよ。 ベッドに寝ているわしの父親に聞いてみてくれ。 」

旅人は更に奥の部屋に入り、ベッドの所に行きました。

 

ベッドには、生きているか、死んでいるかも分からないほど年取った、目玉がギョロリと大きいおじいさんが寝ていました。

「 こんばんは、おやじさん。 一晩だけ、私を泊めてもらえませんか。 」

「 わしはこの家のおやじじゃないんだよ。 ゆりかごで寝ている、わしの父親に聞いてみてくれ。 」

 

 

旅人がゆりかごの所に行くと、中で、赤ちゃんほどの大きさの、化石のようなおじいさんが寝ていました。

「 こんばんは、おやじさん。 一晩だけ、私を泊めてもらえませんか。 」

「 わしはこの家のおやじじゃないんだよ。 壁に掛かっている角笛の中にいる、わしの父親に聞いてみてくれ。 」

 

壁を見ると、確かに角笛が掛かっています。

中には、何やら白っぽいものが入っていて、よく見ると、人間の顔のようです。

 

「 こんばんは、おやじさん。 一晩だけ、私を泊めてもらえませんか。 」

すると、カサカサ言う音が聞こえ、それから「 か・・・・・かまわんよ。 」と言う答えがありました。

 

 

旅人は温かいもてなしを受け、ゆっくり休んだと言う事です。