多重人格ビリー・ミリガンから学ぶ自分との対話&真の五感の活用:前半

【 ビリーを守る為に現れた別人格 】

1ヶ月後の1978年3月12日、性的暴行事件を担当する検事バーナード・ヤヴイッチ、精神医学の権威であるジョージ・ハーディング、多重人格研究の専門家であるコーネリア・ウィルバーの3人が集まり、より客観的な精神鑑定に取り掛かりました。

そして、着目したのが多重人格の特徴の一つである、

 

それぞれの人格の記憶は・・・

別々である・・・

 

という事実でした。

つまり、

 

ある人格が何も覚えていない場合でも・・・

別の人格が覚えている・・・

故に、(ビリーという)一人の人間としては・・・

記憶喪失は起こっていない・・・

 

という事です。

 

 

そこで、人格達の記憶を集める事に取り組みました。

なぜなら、それぞれの人格が話す記憶に矛盾があるか否かを調べる事で、事実の確認が可能になるからです。

しかし、それを実現する為には、

 

主人格のビリーと話す事が必要

 

になります。

 

すると、ダニーと名乗る新たな男が現れました。

そして、自分にはビリーを表に出す事は出来ず、アーサーとレイゲンと名乗る2人の男だけが、ビリーを表に出す事が出来ると話します。

そこで、ビリーと話したいとの要望を、アーサーとレイゲンに伝えて貰うようにお願いしました。

 

すると、2人が現れたので話を聞くと、2人は他の人格達を束ねる、リーダー格の存在である事が分かりました。

そして、2人が主導してビリーを眠らせ、どの人格を出すかを仕切っていると話します。

そして、ビリーの自殺を恐れている2人を説得し、ようやくビリーが現れました。

そして、その時のビリーが話した記録が残っています、、、

 

ビリー:
『 何が何だか分からない。 いつでも僕は眠ってしまって、目が覚めると、部屋の中に閉じ込められていた。 箱の中に閉じ込められていたんだ。 』

 

 

そして、アーサーとレイゲンの2人が恐れていた自殺ですが、

 

実は、ビリーが16歳の時に・・・

学校の屋上から飛び降り自殺をしようとした・・・

 

という出来事がありました。

しかし、

 

自殺を図る直前に・・・

他の人格が取って代わり・・・

ビリーは眠らされた・・・

 

という経緯がありました。

それ以来、

 

ビリーが22歳の今になる迄・・・

別人格達だけでビリーの人生を送って来た・・・

 

という事実が分かりました。

 

 

そして、この時点では8(人)の人格が確認され、ビリーの記憶とも矛盾は見つかりませんでした。

しかし、誰も性的暴行をした記憶は無く、しかも、眠っている間の他の人格の行動は分からないと話します。

故に、精神科医は『 ビリーに裁判は無理 』との手紙を、裁判所へ提出しました。

 

こうして、多重人格と診断を受けたビリーですが、裁判を受けられるようになる事を目的として、1978年4月からハーディング病院で治療が進められる事になりました、、、

 

【 ビリーの過去から解き明かす 】

治療が進むにつれ、ビリーも主人格として、自らの記憶を話すようになりました。

ビリーは1955年にマイアミで生まれ、母は歌手、父は有名なコメディアンだったので、両親は家に不在がちでした。

故に、孤独なビリーは3歳頃から、

 

イマジナリーフレンド(想像上の友達)を作り出し・・・

一緒に遊んでいた・・・

 

と話します。

 

 

そして、月日が流れる中、クッキーの瓶を割って母に叱られると思った瞬間、

 

ビリーは意識を失う・・・

 

という出来事が起こりました。

数時間後、ビリーが意識を取り戻すと、

 

母の叱責にイマジナリーフレンドが対応していた

 

という事実が分かりました。

つまり、

 

身代わりを立てる事で・・・

恐怖から逃れられるなどの・・・

学習と成功体験を得た・・・

 

という事です。

 

 

そして、ビリーが8歳になると、母が再婚しました。

しかし、義父は酒に溺れ暴力を振るい、ビリーは納屋に閉じ込められ、性的虐待を受け続けました。

この時に身代わりとして現れたのが、同じく8歳のデイヴィッドでした。

こうして、

 

ビリーが嫌な出来事などを経験する毎に・・・

新たな人格が続々と誕生する・・・

 

という流れになりました、、、

 

【 明らかになる犯人の人格 】

他にも、ビリーが関与したとされる、3件の性的暴行事件も明らかになりました。

しかし、他の人格達に話を聞くと、同じく誰も性的暴行をした記憶は無いと答えました。

すると、残った最後の人格が自白しました、、、

 

最後の人格:
『 私がやったのよ。 私は愛を求めたの。 誰かに抱かれて、温かくて、大事にされたかっただけ。 』

 

 

自白した最後の人格は、自らを同性愛者と称する、アダラナと名乗る19歳のでした、、、